フレイルと股関節屈曲筋力が高齢心不全患者の退院時自立歩行を予測する
「要旨」【目的】高齢心不全患者の退院時自立歩行を予測する因子について検討する. 【方法】当院で心臓リハビリテーション(心リハ)を実施した65歳以上の高齢心不全患者のうち, 入院前に歩行が自立していた276名を対象に退院時の歩行能力により自立歩行群と歩行困難群に分類し, 後方視的にデータを収集し解析した. 【結果】自立歩行群は249例, 歩行困難群は27例だった. 歩行困難群では, 入院前のClinical Frailty Scale (CFS)は有意に高く, 離床開始時の股関節屈曲筋力, 膝関節伸展筋力は有意に低く, うつ病と認知症の合併率は有意に高く, 心リハ開始病日は有意に遅延していた....
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Published in | 松江市立病院医学雑誌 Vol. 22; no. 1; pp. 46 - 52 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
松江市立病院
01.12.2018
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ISSN | 1343-0866 |
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Summary: | 「要旨」【目的】高齢心不全患者の退院時自立歩行を予測する因子について検討する. 【方法】当院で心臓リハビリテーション(心リハ)を実施した65歳以上の高齢心不全患者のうち, 入院前に歩行が自立していた276名を対象に退院時の歩行能力により自立歩行群と歩行困難群に分類し, 後方視的にデータを収集し解析した. 【結果】自立歩行群は249例, 歩行困難群は27例だった. 歩行困難群では, 入院前のClinical Frailty Scale (CFS)は有意に高く, 離床開始時の股関節屈曲筋力, 膝関節伸展筋力は有意に低く, うつ病と認知症の合併率は有意に高く, 心リハ開始病日は有意に遅延していた. 入院時の血液データやLVEFは両群間で有意差は無かった. ロジスティック回帰分析では退院時自立歩行の可否に入院前のCFS (p=0.029), 心リハ開始時の股関節屈曲筋力(p=0.028)が関与していると考えられ. ROC解析では, CFSのカットオフ値は5 (感度0.94, 特異度0.63), 股関節屈曲筋力のカットオフ値は0.14kgf/kg (感度0.78, 特異度0.83)であった. 【結論】退院時自立歩行はCFSと離床開始時股関節屈曲筋力から予測できる可能性があり, より早期からの股関節屈曲筋力トレーニングが退院時自立歩行に寄与する可能性がある. |
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ISSN: | 1343-0866 |