結核・非結核性抗酸菌症教育のあり方

日本における結核罹患数は, 戦後の公衆衛生の改善とともに結核の早期診断および管理といった結核対策の強化により著しく減少した. その結果, 感染後間もなく発症する一次結核は減少し, 人口の高齢化に伴い内因性再燃を特徴とする二次結核が結核患者の多くを占めるようになった. 年齢層別の統計によると, 90歳以上の結核新規届け出数は2014年頃までは増加していたもののその後減少に転じ, 2021年にはついに低蔓延国となった. しかし, 一方で低蔓延化した状況は結核患者を診療する機会の減少をもたらす. とくに, 結核を診療した経験のない若手医師にとっては, 結核の実地研修を受ける環境が限られるようになる....

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Published in結核 Vol. 99; no. 7; pp. 213 - 214
Main Author 小宮幸作
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本結核・非結核性抗酸菌症学会 15.11.2024
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ISSN0022-9776

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Summary:日本における結核罹患数は, 戦後の公衆衛生の改善とともに結核の早期診断および管理といった結核対策の強化により著しく減少した. その結果, 感染後間もなく発症する一次結核は減少し, 人口の高齢化に伴い内因性再燃を特徴とする二次結核が結核患者の多くを占めるようになった. 年齢層別の統計によると, 90歳以上の結核新規届け出数は2014年頃までは増加していたもののその後減少に転じ, 2021年にはついに低蔓延国となった. しかし, 一方で低蔓延化した状況は結核患者を診療する機会の減少をもたらす. とくに, 結核を診療した経験のない若手医師にとっては, 結核の実地研修を受ける環境が限られるようになる. 結核に関する知識および技能は公衆衛生の視点においても重要であることから, 本領域における若手医師に対する効果的な教育および研修の制度づくりが急務となる.
ISSN:0022-9776