大量喀血をきたした原発性アミロイドーシスの1例

我々は喀血で発症した原発性アミロイドーシス症例を経験したので報告する. 症例は47歳男性. 平成9年11月に血痰が出現. 胸部CT上びまん性粒状影を認めたが1ヵ月後には消失した. 平成13年8月, 大量喀血のため入院. 両側上肺野優位のびまん性斑状粒状影を認めた. 腎機能は軽度低下していたが血尿は認めなかった. 血管炎症候群の鑑別のため抗核抗体, ANCAなどを検索したが陰性であった. 安静と止血剤の投与により再喀血することなく経過し陰影も改善した. 同年12月に再度喀血し再入院. 原因精査のため平成14年1月胸腔鏡下肺生検を施行した. 術直後に大量喀血をきたし止血処置, 蘇生を行ったが奏効せ...

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Published in気管支学 Vol. 26; no. 3; p. 295
Main Authors 丹羽俊朗, 中村敦, 加藤高志, 利根川賢, 沓名健雄, 加藤研
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器内視鏡学会 10.05.2004
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ISSN0287-2137

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Summary:我々は喀血で発症した原発性アミロイドーシス症例を経験したので報告する. 症例は47歳男性. 平成9年11月に血痰が出現. 胸部CT上びまん性粒状影を認めたが1ヵ月後には消失した. 平成13年8月, 大量喀血のため入院. 両側上肺野優位のびまん性斑状粒状影を認めた. 腎機能は軽度低下していたが血尿は認めなかった. 血管炎症候群の鑑別のため抗核抗体, ANCAなどを検索したが陰性であった. 安静と止血剤の投与により再喀血することなく経過し陰影も改善した. 同年12月に再度喀血し再入院. 原因精査のため平成14年1月胸腔鏡下肺生検を施行した. 術直後に大量喀血をきたし止血処置, 蘇生を行ったが奏効せず死亡した. 家族の同意が得られたため肺の病理解剖を施行した. 組織所見では, び慢性肺胞出血とともに好酸性物質が肺胞壁から小葉間隔壁, 特に肺動脈壁に強く沈着していた. 好酸性物質はコンゴレッド染色で赤色調に染色され, 偏光下で蛍光を発し過マンガン酸処理による退色が見られずAL型アミロイドと確認された. またElastica Van Gieson染色で肺動脈壁の弾性板の断裂を認めたことから肺動脈の破綻による出血死と診断された. アミロイドーシスの診断には組織所見が不可欠であるが, 喀血の鑑別診断には肺アミロイドーシスも念頭に置き, 生検を行う場合には慎重な検討が必要であると思われた.
ISSN:0287-2137