地域DOTS移行後に服薬状況の把握が困難になり, 治療中に再発した肺結核の2例
要旨: すべての結核患者に対する服薬支援としてDOTSが世界的に普及し, 排菌患者は退院後に入院DOTSから地域DOTSに移行して服薬支援が継続される. 入院DOTSの治療経過は良好でありながら, 地域DOTS移行後に服薬状況の把握が困難になり, 治療中に再排菌が確認された2例を経験したため報告する. 症例1は52歳男性, 退院6カ月後に再増悪し, 頸椎疾患により薬剤を確実に嚥下できていなかったこと, 服薬確認者に精神疾患があり服薬管理を理解できていなかったことが判明した. 症例2は52歳女性, 退院5カ月後に再増悪したが, 同治療継続により改善したことから怠薬の可能性が疑われた. より厳密な...
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Published in | 結核 Vol. 97; no. 2; pp. 79 - 83 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本結核・非結核性抗酸菌症学会
15.03.2022
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ISSN | 0022-9776 |
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Summary: | 要旨: すべての結核患者に対する服薬支援としてDOTSが世界的に普及し, 排菌患者は退院後に入院DOTSから地域DOTSに移行して服薬支援が継続される. 入院DOTSの治療経過は良好でありながら, 地域DOTS移行後に服薬状況の把握が困難になり, 治療中に再排菌が確認された2例を経験したため報告する. 症例1は52歳男性, 退院6カ月後に再増悪し, 頸椎疾患により薬剤を確実に嚥下できていなかったこと, 服薬確認者に精神疾患があり服薬管理を理解できていなかったことが判明した. 症例2は52歳女性, 退院5カ月後に再増悪したが, 同治療継続により改善したことから怠薬の可能性が疑われた. より厳密な服薬確認方法を提示したが, 同意を得られず対応に苦慮した. 2症例とも再指導を行うことでその後は再燃を認めず治療終了に至った. DOTSとは直接服薬確認だけでなく, 再発や薬剤耐性出現を防止するための包括的支援であることを意識し, 患者および服薬確認者の理解度を丁寧に確認する必要がある. 治療を行う医療機関だけでなく, 保健所, 薬局と適切に連携し患者ごとに最適な方針設定を行うことが重要である. |
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ISSN: | 0022-9776 |