高度肥満患者に対する上行大動脈人工血管置換術の経験
「要旨」高度肥満患者に対して上行大動脈人工血管置換術の人工心肺操作を経験した. 患者は63歳の白人男性, 身長184cm, 体重151.1kg, 体表面積2.66m2であった. 人工心肺は落差脱血にて行う予定であったが, 不測の事態を考慮して陰圧吸引補助脱血を準備した. 人工心肺開始後は落差脱血のみで血液流量6L/minを確保できたが, それ以上は脱血不良を来たしたため陰圧吸引補助脱血を併用した. 結果, 人工心肺時間159分, 大動脈遮断時間85分, 逆行性脳灌流時間35分, 下肢循環停止時間36分で人工心肺を終了した. 高度肥満患者に対する人工心肺の症例報告が少ない中で, 必要灌流量の決定...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 43; no. 1; pp. 32 - 36 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.03.2016
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 「要旨」高度肥満患者に対して上行大動脈人工血管置換術の人工心肺操作を経験した. 患者は63歳の白人男性, 身長184cm, 体重151.1kg, 体表面積2.66m2であった. 人工心肺は落差脱血にて行う予定であったが, 不測の事態を考慮して陰圧吸引補助脱血を準備した. 人工心肺開始後は落差脱血のみで血液流量6L/minを確保できたが, それ以上は脱血不良を来たしたため陰圧吸引補助脱血を併用した. 結果, 人工心肺時間159分, 大動脈遮断時間85分, 逆行性脳灌流時間35分, 下肢循環停止時間36分で人工心肺を終了した. 高度肥満患者に対する人工心肺の症例報告が少ない中で, 必要灌流量の決定は文献より熟慮を重ねた結果, 7~8L/minと決定した. 今回の経験から特殊な患者への安全な人工心肺の提供について脱血カニューレの重要性や, トラブル発生を想定した準備や対応をあらかじめ講じることが重要である. |
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ISSN: | 0912-2664 |