パテンシーカプセルのコーティング膜が滞留したCrohn病の1例

「はじめに」腸管の開通性を確認するために使用されるパテンシーカプセルは, 体内で約100~200時間後に自然に崩壊し, 消化管内に滞留しても排出される. そのため腸閉塞などのリスクが低減され, 安全性が高いとされる. しかし, まれに非溶解性コーティング膜が滞留する事例が報告されている. 本稿では回腸狭窄部にパテンシーカプセルの非溶解性コーティング膜が滞留したCrohn病の1例を経験したので報告し, その臨床的意義について考察する. 「症例」患者 : 40代, 女性. 主訴 : 食思不振 現病歴 : 3年前から下痢, 腹痛, 嘔吐が見られ, 2年前から腸閉塞により4回の治療歴がある. いずれも...

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Published inProgress of Digestive Endoscopy(2001年から) Vol. 105; no. 1; pp. 85 - 87
Main Authors 清水美聡, 北村昌史, 野本佳恵, 上野貴, 岡田昌浩, 小林卓真, 三ツ橋拓実, 加賀谷結華, 坂本博次, 矢野智則, 山本博徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本消化器内視鏡学会関東支部会 13.12.2024
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ISSN1348-9844

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Summary:「はじめに」腸管の開通性を確認するために使用されるパテンシーカプセルは, 体内で約100~200時間後に自然に崩壊し, 消化管内に滞留しても排出される. そのため腸閉塞などのリスクが低減され, 安全性が高いとされる. しかし, まれに非溶解性コーティング膜が滞留する事例が報告されている. 本稿では回腸狭窄部にパテンシーカプセルの非溶解性コーティング膜が滞留したCrohn病の1例を経験したので報告し, その臨床的意義について考察する. 「症例」患者 : 40代, 女性. 主訴 : 食思不振 現病歴 : 3年前から下痢, 腹痛, 嘔吐が見られ, 2年前から腸閉塞により4回の治療歴がある. いずれも絶飲食, 補液による保存的治療で改善している. CT検査で回盲部の壁肥厚, 下部消化管内視鏡検査で回腸末端に縦走潰瘍瘢痕を認め, Crohn病が疑われた. カプセル内視鏡検査を計画しパテンシーカプセルを内服したが, 時間内に排泄されずカプセル内視鏡検査は実施できなかった.
ISSN:1348-9844