脳性麻痺に合併した麻痺性股関節脱臼の観血的治療経験

「はじめに」重度脳性麻痺児の股関節においては股関節周囲筋群の筋不均衡と屈曲内転拘縮のために麻痺性股関節亜脱臼や脱臼が発現しやすい. 股関節脱臼が生じると経時的に高位脱臼へと進展し, 高度の股関節可動域制限が生じ, 日常生活動作や介護が困難となる. また年長股関節脱臼例の約半数には股関節痛が発現するという報告1)もあり, 整復が求められる. 今回, 我々は, 重度の痙性脳性麻痺児に合併した股関節高位脱臼に対し観血的治療を行ったのでその治療経験について報告する. 対象症例および方法対象症例は, 重度の痙性脳性麻痺児で麻痺性股関節脱臼となり, 他医より紹介された男児5例8股, 女児2例3股の計7例...

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Published in	整形外科と災害外科 Vol. 47; no. 2; pp. 490 - 492
Main Authors	山元拓哉, 肥後勝, 牟田實
Format	Journal Article
Language	Japanese
Published	西日本整形・災害外科学会 25.03.1998
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Summary:	「はじめに」重度脳性麻痺児の股関節においては股関節周囲筋群の筋不均衡と屈曲内転拘縮のために麻痺性股関節亜脱臼や脱臼が発現しやすい. 股関節脱臼が生じると経時的に高位脱臼へと進展し, 高度の股関節可動域制限が生じ, 日常生活動作や介護が困難となる. また年長股関節脱臼例の約半数には股関節痛が発現するという報告1)もあり, 整復が求められる. 今回, 我々は, 重度の痙性脳性麻痺児に合併した股関節高位脱臼に対し観血的治療を行ったのでその治療経験について報告する. 対象症例および方法対象症例は, 重度の痙性脳性麻痺児で麻痺性股関節脱臼となり, 他医より紹介された男児5例8股, 女児2例3股の計7例11股である. 両側罹患4例, 片側罹患3例であり, 1例は筋dystrophyを合併していた. 麻痺型は四肢麻痺6例, 両麻痺1例であった. 手術時年齢は平均8.3±2.5歳(6歳7カ月～11歳7カ月), 術後経過期間は平均2.5±1.8年(8カ月～5年)であった. 股関節高位脱臼の観血的整復のために股関節周囲筋群解離術, 観血的整復術と大腿骨減捻内反短縮骨切り術を併用した. 股関節周囲筋群解離術は脱臼や変形をきたす筋性要因を除去し, 筋均衡をうるために行った.
ISSN:	0037-1033