膀胱原発小細胞癌の1例

抄録: 62歳, 男性. 腰背部痛と左前腕のしびれを自覚し, 近医受診. 頚部から骨盤部の単純CT検査で第7頚椎の骨破壊, 肺・リンパ節への多発転移が疑われた. また, 膀胱内に腫瘤性病変を認め, 同部位が原発巣と考えられた. そこでその後の精査加療目的に当科紹介となった. 膀胱鏡検査で右側壁および後壁に広基性非乳頭状腫瘍を認め, 経尿道的膀胱腫瘍切除術と右腎瘻造設術を施行した. 転移性膀胱癌(cT3bN2M1)との診断に至り, カルボプラチン+ゲムシタビンによる化学療法を開始した. 1コース目施行中, 最終的な病理診断結果を膀胱小細胞癌と診断を得たため, カルボプラチン+エトポシドによる化学...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 4; pp. 250 - 254
Main Authors 山田翔大, 松尾朋博, 前川暢秀, 土山彩華, 中村裕一郎, 中西裕美, 安田拓司, 光成健輔, 大庭康司郎, 望月保志, 今村亮一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.04.2024
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ISSN0029-0726

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Summary:抄録: 62歳, 男性. 腰背部痛と左前腕のしびれを自覚し, 近医受診. 頚部から骨盤部の単純CT検査で第7頚椎の骨破壊, 肺・リンパ節への多発転移が疑われた. また, 膀胱内に腫瘤性病変を認め, 同部位が原発巣と考えられた. そこでその後の精査加療目的に当科紹介となった. 膀胱鏡検査で右側壁および後壁に広基性非乳頭状腫瘍を認め, 経尿道的膀胱腫瘍切除術と右腎瘻造設術を施行した. 転移性膀胱癌(cT3bN2M1)との診断に至り, カルボプラチン+ゲムシタビンによる化学療法を開始した. 1コース目施行中, 最終的な病理診断結果を膀胱小細胞癌と診断を得たため, カルボプラチン+エトポシドによる化学療法を8コース施行した. 経過中, 精嚢および前立腺への浸潤, その他転移巣の増大を認めたため, ペムブロリズマブを開始した. また, 多発脳転移, 内耳道転移を併発したため, 全脳照射も施行した. ペムブロリズマブを2コース終了後, 治療継続困難と判断し, 支持療法の方針となった. 今回我々が経験した膀胱小細胞癌の1例, およびこれまでの本邦における膀胱小細胞癌の文献報告を集計し報告する.
ISSN:0029-0726