腰痛,職業性腰痛 -その診断と治療
「はじめに」 職業性腰痛の診断と治療についても, 特に, 一般の腰痛疾患のそれらと何ら異なるところはない. 大体腰痛は人間が四つ足動物から進化して起立歩行するようになってから宿命的なものとして説明されてきた. そして腰痛に悩む人は非常に多いということも通説であった. 筆者が腰痛疾患の研究に従事してから早くも30年が過ぎたか, 当時は整形外科領域における非常に多い疾患だったとはいえ, あまりはなばなしい魅力がなくminorな分野だったと記憶している. しかし, その後の本邦における脊椎外科や腰椎外科の発展は眼を見はるものがあり, 現在では整形外科領域での主要分野となり, かつ水準も国際的に一流と...
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Published in | 日本腰痛研究会雑誌 Vol. 2; no. 1; pp. 67 - 85 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本腰痛研究会
11.12.1996
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ISSN | 1341-7355 |
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Summary: | 「はじめに」 職業性腰痛の診断と治療についても, 特に, 一般の腰痛疾患のそれらと何ら異なるところはない. 大体腰痛は人間が四つ足動物から進化して起立歩行するようになってから宿命的なものとして説明されてきた. そして腰痛に悩む人は非常に多いということも通説であった. 筆者が腰痛疾患の研究に従事してから早くも30年が過ぎたか, 当時は整形外科領域における非常に多い疾患だったとはいえ, あまりはなばなしい魅力がなくminorな分野だったと記憶している. しかし, その後の本邦における脊椎外科や腰椎外科の発展は眼を見はるものがあり, 現在では整形外科領域での主要分野となり, かつ水準も国際的に一流となったのである. 1934年にBostonのattendingのMixterとresidentのBarr*が椎間板ヘルニアの病態生理を解明し, それまで軟骨性脊椎管内腫瘍enchondroma ventraleという考え方であったものを椎間板髄核の脱出, つまリヘルニアという概念に定義して以来世界的に熱狂的に椎間板の外科が採り入れられた. |
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ISSN: | 1341-7355 |