(II-P4-8)高齢患者の嚥下障害に対するNST介入症例
【はじめに】家庭での栄養管理が十分でないために, 全身状態が悪化し, ねたきり・低栄養で入院した高齢者は, 嚥下機能が低下する症例も多く, 病状の改善・入院中の感染症および褥瘡の発症予防・早期退院・社会復帰のために, NST・適切な栄養管理が重要である. 今回我々は, NSTが介入し, 低栄養・誤嚥のリスクを管理し, 病状と機能が改善した症例を報告する. 【症例】A氏84歳男性. 【現病歴】多発性骨髄腫にて外来での2週間に一度のMAP輸血, サリドマイド療法中に, 感染症くりかえし, 2週間前から発熱, 1週間前から嘔吐・食欲不振増強し, 急性肺炎の診断にて入院. 【経過】ねたきり・全介助状態...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 10; no. 3; p. 470 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2006
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 【はじめに】家庭での栄養管理が十分でないために, 全身状態が悪化し, ねたきり・低栄養で入院した高齢者は, 嚥下機能が低下する症例も多く, 病状の改善・入院中の感染症および褥瘡の発症予防・早期退院・社会復帰のために, NST・適切な栄養管理が重要である. 今回我々は, NSTが介入し, 低栄養・誤嚥のリスクを管理し, 病状と機能が改善した症例を報告する. 【症例】A氏84歳男性. 【現病歴】多発性骨髄腫にて外来での2週間に一度のMAP輸血, サリドマイド療法中に, 感染症くりかえし, 2週間前から発熱, 1週間前から嘔吐・食欲不振増強し, 急性肺炎の診断にて入院. 【経過】ねたきり・全介助状態. 抗生剤投与にて胸部異常陰影は一時消失. 流動食開始するも喫食不良で, その後, 患者の希望で全粥・軟菜に変更するもむせ・痰・喫食不良が続く. 右上肺野に新しい陰影が出現し治療継続. 病棟看護師からNSTへ介入依頼. 歯科医師が嚥下評価を行い, 誤嚥リスクが高く経口摂取は不適応と判断され, NSTからは経管栄養の提案がなされた. 直ちに経管栄養実施され, 実施2日目で痰の喀出回数減少. さらに4日後には肺炎治癒確認. その後の嚥下状態は改善傾向で, 嚥下評価を行いながら食形態に配慮し, 嚥下食摂取を行い, 摂取量に応じて経管栄養を減量. 食事摂取時には歯科医師・看護師らが代償的嚥下方法・間接訓練・口腔ケアを実施した. 栄養状態の改善とともに汎血球減少症は改善し, MAP輸血の間隔は延長. 嚥下および運動リハビリテーションを継続実施し歩行可能となり, 軟食・普通飯・経口栄養剤で十分な経口摂取ができるようになり, 自宅退院. 【考察】NST・多職種の介入により, 適切に積極的一時的に経管栄養を導入して消化管を用いて意味のない絶食期間を作らず患者の栄養状態を改善し, 患者の治療意欲を引き出し, リハビリテーションが進んだ症例であった. |
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ISSN: | 1343-8441 |