小侵襲手技による指関節固定術の経験
<目的>関節固定術は整形外科でしばしば行なわれる手術手技で, 関節の破壊が強い場合や変形が強い場合に選択される. 一般的な手技は関節面を切除し適合性を良くしてワイヤーやプレートで固定する. われわれは指の遠位指節間(DIP)関節に対して, 関節面を操作することなく, 指尖より小切開でscrew固定する方法を開発したので, 手術手技および適応・長所・短所などについて報告する. <手術手技および症例>開発の経緯:この手技は切断指再接着例に対しておこなった. 切断指再接着例ではある程度の循環障害が残るため中節骨などの骨接合部の偽関節や遷延治癒が置き易い. この治療として, 指...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 54; no. 3; p. 518 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本農村医学会
01.09.2005
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ISSN | 0468-2513 |
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Summary: | <目的>関節固定術は整形外科でしばしば行なわれる手術手技で, 関節の破壊が強い場合や変形が強い場合に選択される. 一般的な手技は関節面を切除し適合性を良くしてワイヤーやプレートで固定する. われわれは指の遠位指節間(DIP)関節に対して, 関節面を操作することなく, 指尖より小切開でscrew固定する方法を開発したので, 手術手技および適応・長所・短所などについて報告する. <手術手技および症例>開発の経緯:この手技は切断指再接着例に対しておこなった. 切断指再接着例ではある程度の循環障害が残るため中節骨などの骨接合部の偽関節や遷延治癒が置き易い. この治療として, 指先よりHerbert screwで固定する方法を用いた. この際, 骨折部と共にDIP関節も伸展位に固定されることになる. 再接着指では腱の癒着によりDIP関節の可動域は期待できないため許される手技といえる. この手技により骨折部の癒合が得られたが, レントゲンで経過を追っておくと, 関節面の操作をなにも行なっていないにもかかわらずDIP関節が骨癒合し固定されることがわかった. このような症例を4例5関節経験した. この経験から, 変形性指関節症の症例や透析による関節破壊の3症例に対してこの手技を応用した. 即ち, 指尖から約5mmの小切開で指骨針を刺入し, それをガイドとしてHerbert screwを刺入して関節を固定する. 術後は副子固定することなく, 5日後に抜糸し, 日常生活に復帰させる. <結果および考察>全例に固定部の骨癒合が得られた. 再接着例の固定部の癒合は5から15か月と遷延傾向にあった. 変形性関節症の固定は6か月で完成した. このように通常の固定術より癒合まで長期間を要するが, その間, 日常生活で指を使用させているので不自由の訴えはない. この手技の利点としては, 術後すぐ重労働以外の日常生活で指が使えることである. また, 欠点としてDIP関節は伸展0°で固定しなければならないことである. |
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ISSN: | 0468-2513 |