糖尿病患者における歯周病原細菌の血清抗体価に関する調査
要旨:本研究は, 糖尿病患者の歯周病のスクリーニングテストとしての, 歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価(以下抗体価)の有用性を検索するために行った. 被験者は, 2010年7月から2011年12月までに慶應義塾大学病院内科に教育入院した2型糖尿病患者28名(平均年齢56.6±10.7歳, 男性18名, 女性10名, 平均罹患期間8.7±6.3年)(平均±標準偏差)とした. 初診時に歯周組織検査と血液検査を施行後, 歯周基本治療を行い, 基本治療終了1ヶ月後に再評価を行った. 抗体価検査はPorphyromonas gingivalis(Pg), Prevotella intermedia(...
Saved in:
Published in | 日本歯周病学会会誌 Vol. 56; no. 4; pp. 414 - 422 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本歯周病学会
28.12.2014
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 0385-0110 |
Cover
Summary: | 要旨:本研究は, 糖尿病患者の歯周病のスクリーニングテストとしての, 歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価(以下抗体価)の有用性を検索するために行った. 被験者は, 2010年7月から2011年12月までに慶應義塾大学病院内科に教育入院した2型糖尿病患者28名(平均年齢56.6±10.7歳, 男性18名, 女性10名, 平均罹患期間8.7±6.3年)(平均±標準偏差)とした. 初診時に歯周組織検査と血液検査を施行後, 歯周基本治療を行い, 基本治療終了1ヶ月後に再評価を行った. 抗体価検査はPorphyromonas gingivalis(Pg), Prevotella intermedia(Pi), Eikenella corrodens(Ec), Aggregatibacter actinomycetemcomitans(Aa)の4菌種に行った. 今回検索した検査値の中では, Pg抗体価と歯周病の病態に関連が認められ, 抗体価1.0を境界値とした場合に低抗体価群と高抗体価群では, 歯周ポケット深さにおいて有意差を認めた. また初診時のPg抗体価と歯周ポケット深さにおいて, 有意に高い相関関係を示した. 基本治療後の抗体価は低下傾向にあるものの, 初診時との有意差は認めなかった. 以上の結果から, 糖尿病患者の歯周病スクリーニングにPgに対する血清抗体価が有用であり, その境界値は1.0付近にあることが示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0385-0110 |