自家移植後の血球回復が一過性であったCML急性転化例と移植CFU-Cの自己再生能に関する検討

慢性骨髄性白血病(以下CML)急性転化例は, 一部の症例を除き, 化学療法に抵抗性で, 極めて予後不良と考えられている. 一方, Goldmanらは, CML急性転化例に対し, 慢性期に凍結保存しておいた末梢血による自家移植を行ない有効であった症例を報告している1). 我々は, CFU-Cのコロニー形成能2)3), 及び自己再生能4)が, 凍結解凍後も比較的良好に保たれることを確認しており, 一方, Fitchenらは再生不良性貧血で骨髄移植を受けた症例において, 血清中のCFU-Cに対する造血抑制因子と拒絶反応の関連性を報告している5). 最近, 我々は, CML急性転化に対し, Goldm...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 29; no. 1; pp. 137 - 143
Main Authors 高橋益広, 酒井力, 岸賢治, 藤原正博, 漆山勝, 大西昌之, 花野政晴, 高井和江, 真田雅好, 森山美昭, 服部晃, 柴田昭, 品田章二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.03.1983
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ISSN0546-1448

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Summary:慢性骨髄性白血病(以下CML)急性転化例は, 一部の症例を除き, 化学療法に抵抗性で, 極めて予後不良と考えられている. 一方, Goldmanらは, CML急性転化例に対し, 慢性期に凍結保存しておいた末梢血による自家移植を行ない有効であった症例を報告している1). 我々は, CFU-Cのコロニー形成能2)3), 及び自己再生能4)が, 凍結解凍後も比較的良好に保たれることを確認しており, 一方, Fitchenらは再生不良性貧血で骨髄移植を受けた症例において, 血清中のCFU-Cに対する造血抑制因子と拒絶反応の関連性を報告している5). 最近, 我々は, CML急性転化に対し, Goldmanらの方法で自家移植を行なったが, 移植後の血球回復が一過性であり, ひき続き施行した同種骨髄移植において生着が認められなかった症例を経験した. 本例の自家移植, 及び同種骨髄移植の結果に関連し, CML急性転化後の経時的な末梢血及び骨髄のCFU-Cの数, ならびに血清CSF活性の測定, 自家移植した凍結保存CFU-Cの自己再生能, 及び血清造血抑制因子の検討を行ない, 興味ある知見を得たので報告する.
ISSN:0546-1448