尿路上皮癌に対する免疫腫瘍療法

「抄録:」尿路上皮癌に対する免疫療法として, カルメット・ゲラン桿菌(Bacille de Calmette et Guerin:BCG)膀胱内注入療法が古くから行われており, 上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)や筋層非浸潤膀胱癌(non-muscle invasive bladder cancer:NMIBC)の治療や再発予防に広く使用されている. 全身治療については長らく抗癌剤治療が主流であったが, 免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitors:ICI)の有効性が示され現在広く普及している. さらに近年, ICIと抗癌剤の併用療法...

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Published in西日本泌尿器科 Vol. 86; no. 6; pp. 287 - 295
Main Authors 矢津田旬二, 神波大己
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本泌尿器科学会 01.08.2024
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ISSN0029-0726

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Summary:「抄録:」尿路上皮癌に対する免疫療法として, カルメット・ゲラン桿菌(Bacille de Calmette et Guerin:BCG)膀胱内注入療法が古くから行われており, 上皮内癌(carcinoma in situ:CIS)や筋層非浸潤膀胱癌(non-muscle invasive bladder cancer:NMIBC)の治療や再発予防に広く使用されている. 全身治療については長らく抗癌剤治療が主流であったが, 免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitors:ICI)の有効性が示され現在広く普及している. さらに近年, ICIと抗癌剤の併用療法についての有効性が報告されており, 近い将来に臨床の場に導入されることが予想される. 本稿では筋層非浸潤癌から進行癌に対するICIの試験結果を, 本邦では保険適応となっていない薬剤や, 保険適応となっていない使用法, 現在進行中の試験も含めて紹介した. 臨床試験の対象患者の多くは膀胱癌であり, 上部尿路上皮癌にも適用できるかは今後の課題である. 新たな薬剤や併用療法の開発が進む中で, 治療効果だけでなく, 適応の判断や副作用管理にも注力する必要がある.
ISSN:0029-0726