日本人の中年男性における血清CK18M30抗原濃度と摂取栄養素の関連

[要旨]: サイトケラチン18 (CK18)断片M30抗原(M30)の血中濃度の上昇は, 健康人と非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)の鑑別, さらに単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)の鑑別に有用であることが報告されている. 本研究は, M30を指標としNAFLDの発症および進展と摂取栄養素の関連を検討した. 飲酒量が20g/日以内の男性162例を対象に, M30の測定, 臨床検査, 栄養素等摂取状況調査および血漿脂肪酸組成分析を行った. M30はB...

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Published in日本栄養・食糧学会誌 Vol. 67; no. 3; pp. 127 - 135
Main Authors 菅原詩緒理, 赤羽たけみ, 福居健一, 塚本幾代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本栄養・食糧学会 10.06.2014
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ISSN0287-3516

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Summary:[要旨]: サイトケラチン18 (CK18)断片M30抗原(M30)の血中濃度の上昇は, 健康人と非アルコール性脂肪性肝疾患(nonalcoholic fatty liver disease: NAFLD)の鑑別, さらに単純性脂肪肝と非アルコール性脂肪肝炎(nonalcoholic steatohepatitis: NASH)の鑑別に有用であることが報告されている. 本研究は, M30を指標としNAFLDの発症および進展と摂取栄養素の関連を検討した. 飲酒量が20g/日以内の男性162例を対象に, M30の測定, 臨床検査, 栄養素等摂取状況調査および血漿脂肪酸組成分析を行った. M30はBody Mass Index (BMI), アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT), アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST), インスリン抵抗性指標(HOMA-IR), 糖質摂取量およびdelta 9デサチュラーゼ(D9D) indexと正の傾向性を示した. 多変量解析よりM30の上昇は, 穀類摂取量とD9D indexが寄与し, さらにD9D indexには糖質摂取量が関連することが示された. 以上の結果より, 糖質摂取量の増加が脂肪酸代謝を変化させることによって, 血清中のM30濃度を上昇し, NAFLDを発症・進展させる可能性が示唆された.
ISSN:0287-3516