無症候性異型大動脈縮窄症の1例

症例は75歳, 男性. 慢性気管支炎にて近医通院加療中に施行した胸部CT上, 胸部大動脈内腔をほとんど閉塞する石灰化像を認めたため, 精査, 加療目的にて当院へ紹介入院. 既往歴にも特記事項はなく, 家族歴では母親が高血圧であるのみであった. 入院時身体所見上, 上腕動脈の拍動著明, 胸部, 背部に大動脈の狭窄を示唆する収縮期雑音聴取. 上肢の高血圧, 下肢との血圧差が著明(ABIは右0.52左0.44)であり, 当初病態的には管後型の大動脈縮窄症と考えられた. 大動脈造影施行したところ, 石灰化病変による狭窄部には非常に少量の血流を認めるのみであった. しかし造影CTでは狭窄部末梢臓器の造影...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 7; pp. 729 - 733
Main Authors 平林朋子, 小藪助成, 安冨眞史, 鈴木 進, 谷口正弥, 世古口茂幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.07.2006
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Summary:症例は75歳, 男性. 慢性気管支炎にて近医通院加療中に施行した胸部CT上, 胸部大動脈内腔をほとんど閉塞する石灰化像を認めたため, 精査, 加療目的にて当院へ紹介入院. 既往歴にも特記事項はなく, 家族歴では母親が高血圧であるのみであった. 入院時身体所見上, 上腕動脈の拍動著明, 胸部, 背部に大動脈の狭窄を示唆する収縮期雑音聴取. 上肢の高血圧, 下肢との血圧差が著明(ABIは右0.52左0.44)であり, 当初病態的には管後型の大動脈縮窄症と考えられた. 大動脈造影施行したところ, 石灰化病変による狭窄部には非常に少量の血流を認めるのみであった. しかし造影CTでは狭窄部末梢臓器の造影は良好であり, 内胸動脈などの側副血行路の発達が示唆された. 間歇性跛行などの症状は軽度であったが, 上半身の血圧コントロールおよび心臓後負荷軽減を目的として左腋窩動脈-両大腿動脈バイパス術施行. 本症例の大動脈石灰化の原因に関し, 若干の考察を加えて報告する.
ISSN:0586-4488