先天性アンチトロンビンIII欠乏症を合併した腹部大動脈瘤の1例
症例は74歳,男性.姉・姪・甥に先天性アンチトロンビンIII(以下ATIIIと略記)欠乏症を認め,患者は現在までに血栓症を指摘されたことはなかった.初診時,右下肢腫脹を認め,さらに腹部に拍動性腫瘤を触知したため,下肢静脈造影, CT施行し,右下肢深部静脈血栓症,腹部大動脈瘤と診断した.またATIII活性値が36~42%と低値を示した.腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行するにあたり,手術前日よりATIII濃縮製剤の投与を行い,術後はATIII活性値を80%に維持した.術中・術後共に血栓症の合併もなく,退院となった.本症を合併した手術において, ATIII濃縮製剤によりATIII活性値を正常値...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 63; no. 6; pp. 1383 - 1386 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | English Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
25.06.2002
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.63.1383 |
Cover
Summary: | 症例は74歳,男性.姉・姪・甥に先天性アンチトロンビンIII(以下ATIIIと略記)欠乏症を認め,患者は現在までに血栓症を指摘されたことはなかった.初診時,右下肢腫脹を認め,さらに腹部に拍動性腫瘤を触知したため,下肢静脈造影, CT施行し,右下肢深部静脈血栓症,腹部大動脈瘤と診断した.またATIII活性値が36~42%と低値を示した.腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行するにあたり,手術前日よりATIII濃縮製剤の投与を行い,術後はATIII活性値を80%に維持した.術中・術後共に血栓症の合併もなく,退院となった.本症を合併した手術において, ATIII濃縮製剤によりATIII活性値を正常値に維持し,周術期に血栓症の予防をすることが重要であると考えられた. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.63.1383 |