肝膿瘍破裂による汎発性腹膜炎の1例

症例は73歳,男性.腹痛を主訴に来院し,汎発性腹膜炎の診断で入院となった.入院時腹部全体に腹膜刺激症状を認め,白血球2,100/μl, CRP 38mg/dl. CT検査にて,肝臓のS8領域に直径6cm大で不均一に造影される低吸収領域,および小腸イレウス像を認めた.腹腔内遊離ガス像や絞扼所見はなく,肝の低吸収領域にもガス像は認めなかった.入院当日,開腹手術を施行.肝膿瘍破裂による腹膜炎と診断し,腹腔内洗浄・ドレナージ術を施行した.起炎菌はKlebsiella pneumoniaeであった.術後膿瘍腔は漸次縮小し,術後32日目に退院となった.細菌性肝膿瘍の腹腔内穿孔は稀であり,過去5年間本邦の報...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 65; no. 8; pp. 2251 - 2254
Main Authors 奥田, 勝裕, 榊原, 堅式, 辻, 秀樹, 斉藤, 雄史, 三井, 章, 西脇, 忠
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 日本臨床外科学会 25.08.2004
Subjects
汎発性腹膜炎
肝膿瘍破裂
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Summary:症例は73歳,男性.腹痛を主訴に来院し,汎発性腹膜炎の診断で入院となった.入院時腹部全体に腹膜刺激症状を認め,白血球2,100/μl, CRP 38mg/dl. CT検査にて,肝臓のS8領域に直径6cm大で不均一に造影される低吸収領域,および小腸イレウス像を認めた.腹腔内遊離ガス像や絞扼所見はなく,肝の低吸収領域にもガス像は認めなかった.入院当日,開腹手術を施行.肝膿瘍破裂による腹膜炎と診断し,腹腔内洗浄・ドレナージ術を施行した.起炎菌はKlebsiella pneumoniaeであった.術後膿瘍腔は漸次縮小し,術後32日目に退院となった.細菌性肝膿瘍の腹腔内穿孔は稀であり,過去5年間本邦の報告例は10例をみるに過ぎなかった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.65.2251