医療人に必要なコミュニケーション
病名告知, インフォームドコンセント, カルテ開示など患者とのコミュニケーションの重要性が強調される時代となった. そのためには, 先ず「従来の問診」と「望ましい医療面接」との違い, 「ムンテラ」と「カウンセリング」の違いを認識する必要がある. その上で, 「設問の3型」(中立型・閉鎖型・開放型), 「応答の5型」(評価型・調査型・解釈型・支持型・理解型)の基本と, 非言語的態度・マナーを駆使して患者の心と交流しなければならない. 患者から充分な情報を引き出すには, 効果的な雰囲気と医療者の態度と言うnonverbal communication NVC(80%)に加えて, 効果的な設問と応答...
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Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; pp. 205 - 206 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
31.12.2007
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ISSN | 1343-8441 |
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Summary: | 病名告知, インフォームドコンセント, カルテ開示など患者とのコミュニケーションの重要性が強調される時代となった. そのためには, 先ず「従来の問診」と「望ましい医療面接」との違い, 「ムンテラ」と「カウンセリング」の違いを認識する必要がある. その上で, 「設問の3型」(中立型・閉鎖型・開放型), 「応答の5型」(評価型・調査型・解釈型・支持型・理解型)の基本と, 非言語的態度・マナーを駆使して患者の心と交流しなければならない. 患者から充分な情報を引き出すには, 効果的な雰囲気と医療者の態度と言うnonverbal communication NVC(80%)に加えて, 効果的な設問と応答と言うverbal communication VC(20%)が必要である. NVCでは目線の一致に加えて眼の高さの一致も極めて効果的である. 日本の医師が愛用してきた閉鎖型設問(yesかnoを問う)こそ, 最も患者とのコミュニケーションを阻害してきたことを再認識し, 中立型設問(答えが一つしかない)で患者の緊張をほぐして, 解放型設問(自由な答えを要求)を駆使して患者の心を開く技法が必須である. 患者の発言に対しては, 鸚鵡返しと共感句を主体とする理解型・カウンセリング型の応答を滑らかにする技法が必須である. 病名や障害の告知にあたっては, 「うそをつかない」「患者の心を傷付けない」「患者の心を支える」の3原則に則って, 「ストレート告知」よりは「小出しの告知」「ぼかしの告知」や「サンドイッチ告知」などをうまく使う. 医事紛争対策としては, コンフリクト(葛藤), トラブル(疑問の投げかけ), クレーム(ミスと決め付け), 医事紛争(弁護士依頼)の4つの段階を認識し, 「嘘を付かない」「誤魔化さない」「逃げない」の3原則に沿って, つねに(相手が間違っていても不愉快な思いをさせたと言う)「謝罪の言葉」で始め, 的確で適切な早期のカウンセリング的対応が不可欠である. リハビリテーションの分野においては, 機能障害が回復できない場合には, 能力回復と社会復帰を目指さねばならない. 患者が機能障害を受容し, 能力回復や社会復帰を目指す心を支えるには, 「ムンテラ」(説得療法)は有害でさえありうる. 患者の心に共感しながら患者の自己解決を援助する「カウンセリング」技法をうまく使う必要がある. 限られた時間の中で, ビデオ供覧と問題提起を中心に, 聴衆参加型でコミュニケーションとカウンセリングの基本を提示し, 参加者の実地臨床に役立てて欲しい. |
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ISSN: | 1343-8441 |