有機溶剤作業場の測定結果と暴露濃度及び尿中代謝物の関係について

有機溶剤作業場の作業環境測定結果と暴露濃度及び生物学的モニタリングの分布区分結果の関係について3例報告する. 個人暴露濃度測定は法的義務づけはなく, 作業環境測定と生物学的モニタリングを的確に評価してもらう手段として昨年から一部に実施している. サンプリング時間は全作業時間の70-80%がカバーできるよう, 又サンプル数は原則として午前・午後2コとし時間荷重平均濃度であらわした. [例1]単独物質, 測定結果(第2管理区分)-暴露濃度(許容濃度の1/3-1/2)-尿中代謝無…暴露濃度は気中濃度(M_1 )よりいつも高めであった. [例2]単独物質, 測定結果(第1管理区分)-暴露濃度(許容濃度...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 37; no. 6; p. 425
Main Authors 田頭旬子, 関向和明, 土川宏子, 八重樫友美, 高橋敏子, 山口ゆかり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.1995
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Summary:有機溶剤作業場の作業環境測定結果と暴露濃度及び生物学的モニタリングの分布区分結果の関係について3例報告する. 個人暴露濃度測定は法的義務づけはなく, 作業環境測定と生物学的モニタリングを的確に評価してもらう手段として昨年から一部に実施している. サンプリング時間は全作業時間の70-80%がカバーできるよう, 又サンプル数は原則として午前・午後2コとし時間荷重平均濃度であらわした. [例1]単独物質, 測定結果(第2管理区分)-暴露濃度(許容濃度の1/3-1/2)-尿中代謝無…暴露濃度は気中濃度(M_1 )よりいつも高めであった. [例2]単独物質, 測定結果(第1管理区分)-暴露濃度(許容濃度の1/3-2倍)-尿中代謝分布2, 3が数名 [例3]混合溶剤8物質, 測定結果(第3管理区分)-暴露濃度(相加式で“1”前後)-尿中代謝(一部のみ実施 分布1) [おわりに]測定結果の評価に使用される管理濃度はしょっちゅう変更になることはない. しかし, 許容濃度は労働者への健康影響が明らかになるにつれ年々厳しくなっているようである. 時短がとなえられている中, 県内中小企業の現状は毎日2時間残業, 土曜日も夕方5時までといった就業体制が希ではない. 許容濃度が1日8時間, 週40時間, 中等度作業を基準に設定されていることを考えると, 今回の結果はもっと厳しく評価すべきなのかもしれない. 環境に大きな問題がなくても, 作業者への影響がありそう, 担当者の意識が低い等々, 事業場側の意識を再確認させる手段として, 暴露濃度測定は身近なものとしてとらえることができたと思われる. 当分, 場の測定と同時にすすめ, 測定結果と健診結果の有効活用を図り, 事業場の労働衛生水準の向上に努めたいと考える.
ISSN:1341-0725
1349-533X