岩手県某リハビリテーション病院における口腔ケアの客観的評価

目的:体系的な口腔ケアによる口腔内の変化を検討することを目的とした. 方法と対象:2004年の1ヵ月間に某回復期病院に入院した者26名(男性20名, 女性6名)を対象とした. 入院当日に, 口中の硫化水素濃度(H2S)とメチルメルカプタン濃度(MMP)を測定した. その後CPI, 舌苔スコアの評価を行った. また採取した舌苔からゲノムDNAを精製し, 定量的PCR法により舌苔中の細菌コピー数を算出した. 入院から2ヵ月経過後, 同様の検査, 舌苔中細菌の定量を行った. 結果:入院直後のH2Sの平均値は224±384ppbであり, MMPは74.7±150ppbであったが2ヵ月後にはそれぞれ88...

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Published in口腔衛生学会雑誌 Vol. 55; no. 3; p. 224
Main Authors 岸光男, 阿部晶子, 杉浦剛, 高橋雅洋, 岸香代, 晴山婦美子, 相澤文恵, 米満正美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本口腔衛生学会 30.07.2005
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ISSN0023-2831

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Summary:目的:体系的な口腔ケアによる口腔内の変化を検討することを目的とした. 方法と対象:2004年の1ヵ月間に某回復期病院に入院した者26名(男性20名, 女性6名)を対象とした. 入院当日に, 口中の硫化水素濃度(H2S)とメチルメルカプタン濃度(MMP)を測定した. その後CPI, 舌苔スコアの評価を行った. また採取した舌苔からゲノムDNAを精製し, 定量的PCR法により舌苔中の細菌コピー数を算出した. 入院から2ヵ月経過後, 同様の検査, 舌苔中細菌の定量を行った. 結果:入院直後のH2Sの平均値は224±384ppbであり, MMPは74.7±150ppbであったが2ヵ月後にはそれぞれ88.5±125ppb, 27.7±52.9ppbと有意な減少を呈した. CPIコードと舌苔スコアについても入院直後に比べて有意な減少を示した. 一方, 1mg当りの舌苔中細菌数は入院直後と2ヵ月後でほぼ同一の値(約8×10 7コピー)を示した. 採取した全舌苔中の細菌数は入院直後の2.8×10 9コピーに対して2ヵ月後には1.6×10 9と減少傾向を示したが, 有意差は認められなかった. 結論:本研究対象施設における口腔ケアの臨床的有効性が確認され, 細菌学的な有効性も示唆された.
ISSN:0023-2831