肘部上腕動脈からのアプローチを用いた鼠径部動脈狭窄への経皮的血管形成術の経験
総腸骨動脈より末梢の病変に対する経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty:以下PTA)は, 多くは大腿動脈穿刺により行われる. 病変が大腿動脈穿刺部付近にある場合のPTAは, 対側の大腿動脈穿刺から施行することが多い. その場合, 腸骨動脈分岐を越えてdeviceを持ち込む必要があり, 分岐角度によってはPTAが困難な場合がある. 今回, このような病変に対し, 肘部上腕動脈からのアプローチで, 治療が可能であった3症例を経験したため報告する. 1例目は52歳, 男性. 閉塞性動脈硬化症にて腹部大動脈-両大腿動脈バイパス術の既往がある. 人工...
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Published in | 心臓 Vol. 38; no. 8; pp. 790 - 794 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本心臓財団
15.08.2006
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Summary: | 総腸骨動脈より末梢の病変に対する経皮的血管形成術(percutaneous transluminal angioplasty:以下PTA)は, 多くは大腿動脈穿刺により行われる. 病変が大腿動脈穿刺部付近にある場合のPTAは, 対側の大腿動脈穿刺から施行することが多い. その場合, 腸骨動脈分岐を越えてdeviceを持ち込む必要があり, 分岐角度によってはPTAが困難な場合がある. 今回, このような病変に対し, 肘部上腕動脈からのアプローチで, 治療が可能であった3症例を経験したため報告する. 1例目は52歳, 男性. 閉塞性動脈硬化症にて腹部大動脈-両大腿動脈バイパス術の既往がある. 人工血管遠位部と右大腿動脈との吻合部狭窄を認めた症例である. 2例目は74歳, 男性. 急性心筋梗塞に伴う急性心不全に大動脈内バルーンを挿入したが, バルーンが破裂し, 抜去後に挿入部に血栓閉塞を生じた症例である. 3例目は78歳, 男性. 歩行時の左下肢痛で受診. MRIにて左浅大腿動脈に狭窄所見を認めた症例である. いずれの症例においても, 肘部上腕動脈からのアプローチで治療は成功した. 肘部上腕動脈は大腿動脈より細く, 使用可能なシースの径には限界があり, また, 術後の血腫も生じやすく十分注意が必要である. しかし, 大腿動脈穿刺部付近の狭窄病変の治療の際のアプローチ部位として症例によっては有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0586-4488 |