Fraction BALF中好酸球増多を示すも組織学的に好酸球浸潤が乏しかった原因不明の間質性肺炎

好酸球性肺炎(EP)の診断において, BALF中の好酸球増多は重要な所見である. また, BALを分割して解析することで気道成分(BL)と肺胞成分(AL)を検討する試みも行われている. しかし, BALF肺胞成分中好酸球増多を認めたにも拘わらず, TBLBおよび胸腔鏡下肺生検(VATS)上好酸球浸潤が乏しく, EPとは診断されなかった2例を経験したので報告する. 症例1:64才男性. 胸部CT上, 全肺野(下肺野優位)外層主体の淡い肺野濃度上昇・蜂窩肺. (BL)M 37.7%, L 1.3%, N 33.7%, E 27.3%(AL)M 14.0%, L 28.3%, N 29.3%, E...

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Published in気管支学 Vol. 20; no. 3; p. 276
Main Authors 安井正英, 田上敦朗, 白崎浩樹, 松田昌子, 佐々木茂樹, 石浦嘉久, 笠原寿郎, 藤村政樹, 松田保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.04.1998
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ISSN0287-2137

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Summary:好酸球性肺炎(EP)の診断において, BALF中の好酸球増多は重要な所見である. また, BALを分割して解析することで気道成分(BL)と肺胞成分(AL)を検討する試みも行われている. しかし, BALF肺胞成分中好酸球増多を認めたにも拘わらず, TBLBおよび胸腔鏡下肺生検(VATS)上好酸球浸潤が乏しく, EPとは診断されなかった2例を経験したので報告する. 症例1:64才男性. 胸部CT上, 全肺野(下肺野優位)外層主体の淡い肺野濃度上昇・蜂窩肺. (BL)M 37.7%, L 1.3%, N 33.7%, E 27.3%(AL)M 14.0%, L 28.3%, N 29.3%, E 28.5%, CD4/8=0.3. (病理診断)分類不能の慢性間質性肺炎. 症例2:62才男性. 胸部CT上, 両下肺の小葉間隔壁肥厚・肺野濃度上昇・気腫化・蜂窩肺. (BL)M 92.5%, L 2.5%, N 0%, E 5.0%(AL)M 73.0%, L 3.0%, N 4.0%, E 20.0%, CD4/8=0.8. (病理診断)DIP Fraction BALにても肺胞領域中構成細胞を反映しない場合がある. したがって, EPの診断に際しては, BALF中好酸球増多所見のみならずTBLBにて肺胞領域での好酸球浸潤を確認する必要がある. TBLB上好酸球浸潤が乏しい場合, さらにVATSによる病理学的診断が重要である.
ISSN:0287-2137