変形性膝関節症の圧痛点の分布と圧痛点鍼治療

「目的」変形性膝関節症の圧痛点の分布を検索し, 経穴との位置関係を検討した. 加えてすべての圧痛点に鐵刺激を行った. 「方法」変形性膝関節症37例51関節(初期21関節, 中期21関節, 末期9関節)を対象として, 大腿から下腿まで触診し, 疼痛のために逃避的行動をおこす点を圧痛点とみなした. Melzackに準じて経穴(WHOガイドラインによる経穴と奇穴)を中心とした直径3cmの範囲内に圧痛点が存在していれば経穴と一致するものとした. 鍼治療を希望し, 10回まで鍼治療を継続し他の併用治療がなかった症例は11例16関節であった. 鍼刺激は圧痛点に直径0.18mm鍼を用いて, 10分間置鍼を行...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 917
Main Authors 勝見泰和, 田村美恵, 堀井基行, 田中利彦, 中澤寛元, 丹澤章八
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」変形性膝関節症の圧痛点の分布を検索し, 経穴との位置関係を検討した. 加えてすべての圧痛点に鐵刺激を行った. 「方法」変形性膝関節症37例51関節(初期21関節, 中期21関節, 末期9関節)を対象として, 大腿から下腿まで触診し, 疼痛のために逃避的行動をおこす点を圧痛点とみなした. Melzackに準じて経穴(WHOガイドラインによる経穴と奇穴)を中心とした直径3cmの範囲内に圧痛点が存在していれば経穴と一致するものとした. 鍼治療を希望し, 10回まで鍼治療を継続し他の併用治療がなかった症例は11例16関節であった. 鍼刺激は圧痛点に直径0.18mm鍼を用いて, 10分間置鍼を行った. 「結果」圧痛を認めた47関節の圧痛点の合計は258か所であり, 4関節には圧痛がなかった. 圧痛点は内側関節裂隙周辺に66か所と最も多くみられたが, 大腿と下腿にも圧痛点が広く確認された. 経穴(十四経絡経穴と経外奇穴)は圧痛点と55.8%一致していた. 最も一致した経穴は膝内24.3%であり, 膝関16.7%, 曲泉7.6%, 陰谷・血海6.3%, 陰陵泉5.6%であった. 鍼治療成績は日本整形外科学会膝関節機能評価表で平均79.1±11.7点から89.1±10.3点と有意に増加した. また膝伸展筋力でも46.1±23.1kgから54.1±20.7kgと有意に増加した. 「結語」圧痛点は膝周囲のみならず大腿部や下腿部にも広範囲に認められた. 圧痛点と経穴部の一致率は, 55.8%であった. 圧痛点への鍼刺激の有効性は「阿是穴」の存在を肯定するものと考えた.
ISSN:0034-351X