抗体結合型光増感剤の合成とその細胞分布

【緒言】近年, PDT効果の細胞選択性を付与する方法として抗体結合型光増感剤についての研究がなされている. 本研究では抗MHC II抗体結合型光増感剤の合成およびその細胞動態について検討することを目的とした. 【方法】 抗体として抗マウスMHCII抗体を, 光増感剤としてATX-S10(光ケミカル研究所)を用いcarbodiimide法により抗体結合型ATX-S10を合成した. Brewer’sチオグリコレート培地によりC3H/HeNCrjマウス(7-10週齢)の腹腔にmacrophageを誘導させた腹腔細胞を使用した. 抗体結合型ATX-S10のmacrophageに対する集積性について共焦...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 22; no. 4; p. 282
Main Authors 阪田睦, 梅林志浩, 二宮禎, 脇田政嘉, 西坂剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本レーザー医学会 28.12.2001
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Summary:【緒言】近年, PDT効果の細胞選択性を付与する方法として抗体結合型光増感剤についての研究がなされている. 本研究では抗MHC II抗体結合型光増感剤の合成およびその細胞動態について検討することを目的とした. 【方法】 抗体として抗マウスMHCII抗体を, 光増感剤としてATX-S10(光ケミカル研究所)を用いcarbodiimide法により抗体結合型ATX-S10を合成した. Brewer’sチオグリコレート培地によりC3H/HeNCrjマウス(7-10週齢)の腹腔にmacrophageを誘導させた腹腔細胞を使用した. 抗体結合型ATX-S10のmacrophageに対する集積性について共焦点レーザー顕微鏡を用い評価した. 【結果および考察】 合成した抗体結合型ATX-S10は, 抗体1 μgに対してATX-S10が2.9 μgの割合で結合していると算出された. 抗体の分子量を10万とすると, 抗体1分子あたりATX-S10が31分子結合していると推測された. macrophageに対する集積性は, ATX-S10が細胞内部に集積するのに対し, 抗体結合型ATX-S10は, 細胞の膜上に結合することが観察された. このことから, 抗体結合型光増感剤を用いたPDTは, macrophageの表面に傷害効果を与えると考えられる.
ISSN:0288-6200