当院看護職員の心肺蘇生の意識調査及び2000年ガイドラインの普及状況

我々は, 昨年の蘇生学会で当院の看護職員を対象に蘇生知識の実態調査を行いその結果, 医療現場の主要な位置を担う看護職員において基礎的救命処置法の知識は十分なものではないことが判明した. これをふまえ, 今回我々は看護職員の心肺蘇生行為に対する意識調査を行った. 〔対象〕旭川医科大学附属病院全看護職員304名とした 〔方法〕アンケートは, 自己記入方式とし無記名で選択形式および一部記述形式で回答を頂いた. 〔調査内容〕アンケート内容は, 心肺蘇生経験の有無, 関心度蘇生教育の実状および心肺蘇生への積極性を問う項目を主とし, さらに昨年改訂された2000年心肺蘇生法ガイドラインの普及状況についても...

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Published in蘇生 Vol. 20; no. 3; p. 256
Main Authors 長島君元, 藤本一弘, 鈴木昭広, 仙石和文, 高畑治, 岩崎寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本蘇生学会 12.09.2001
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ISSN0288-4348

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Summary:我々は, 昨年の蘇生学会で当院の看護職員を対象に蘇生知識の実態調査を行いその結果, 医療現場の主要な位置を担う看護職員において基礎的救命処置法の知識は十分なものではないことが判明した. これをふまえ, 今回我々は看護職員の心肺蘇生行為に対する意識調査を行った. 〔対象〕旭川医科大学附属病院全看護職員304名とした 〔方法〕アンケートは, 自己記入方式とし無記名で選択形式および一部記述形式で回答を頂いた. 〔調査内容〕アンケート内容は, 心肺蘇生経験の有無, 関心度蘇生教育の実状および心肺蘇生への積極性を問う項目を主とし, さらに昨年改訂された2000年心肺蘇生法ガイドラインの普及状況についても同時に調査した. 〔結果〕心肺蘇生の経験は, 経験有りが78.0%, 経験なしが17.8%であった. 救命救急センターや集中治療部, 手術部など比較的救急対応が必要な部署に所属したことのある職員は, 全体の35.2%であった. また学生時代, あるいは卒後に心肺蘇生法を学んだことのあるものは93%であり, 新たに心肺蘇生法を学ぶ機会に参加する意志を持っていたものは70.4%であった. また実際に心肺蘇生の必要性がある場合に蘇生を実施すると回答した人は, 蘇生対象が見ず知らずの人に対しては68%, 子供や配偶者および親など身内に対しては95.7%であった. 心肺蘇生を実施しないと回答した理由として, 知識及び技術の不安が66.7%, 法律的な責任問題を選択した人が36.1%であった. 2000年心肺蘇生法ガイドラインの普及状況について, 改正状況を認識していない職員が95.4%と大多数をしめた. 〔結語〕調査結果より, 当院看護職員の心肺蘇生に対する関心は高いものの, 心肺蘇生の機会や情報を提供する側に諸問題が存在することが明らかとなった.
ISSN:0288-4348