表面筋電図と床反力計による脳血管障害片麻痺患者の下肢機能回復指標の検討

片麻痺患者の下肢機能回復指標について, 歩行速度, 歩調と下肢筋表面筋電図による3事項とを比較した. 脳血管障害片麻痺158名と健常対照35名の両下肢12筋の筋活動を表面電極で記録し, 歩行は床反力計で分析した. 年齢別に対照を3群に分け, 患者の歩行時筋活動電位が同年対照より有意に大きいか小さい高低活動電位と, 患者筋に等尺性最大収縮をさせ, 協働収縮筋の活動電位が対照にはなく大きい協働収縮亢進を示す筋数, および遊脚期を除く立脚三期の筋活動電位が健側より有意に小さい麻痺側の歩行左右差筋数を求めた. 高低活動電位と協働収縮亢進を示す筋数は, 歩行速度, 歩調, Brunnstrom stag...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 12; p. 930
Main Authors 中山貴裕, 市川英彦, 塚越廣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1996
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ISSN0034-351X

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Summary:片麻痺患者の下肢機能回復指標について, 歩行速度, 歩調と下肢筋表面筋電図による3事項とを比較した. 脳血管障害片麻痺158名と健常対照35名の両下肢12筋の筋活動を表面電極で記録し, 歩行は床反力計で分析した. 年齢別に対照を3群に分け, 患者の歩行時筋活動電位が同年対照より有意に大きいか小さい高低活動電位と, 患者筋に等尺性最大収縮をさせ, 協働収縮筋の活動電位が対照にはなく大きい協働収縮亢進を示す筋数, および遊脚期を除く立脚三期の筋活動電位が健側より有意に小さい麻痺側の歩行左右差筋数を求めた. 高低活動電位と協働収縮亢進を示す筋数は, 歩行速度, 歩調, Brunnstrom stage, 痙縮の程度と有意に関連し, 経過とともに低下し, 歩行速度, 歩調とは違う変動値を示した. 歩行左右差筋数は歩行速度, Brunnstrom stageと関連を認めた. 2回以上検査して改善と判定した35名の歩行速度, 歩調, 高低活動電位, 協働収縮亢進の改善率は66~80%で, これらは片麻痺患者の下肢機能回復指標となると考えられた. 歩行左右差筋数は改善率もより低く, 指標としては不十分であった. また協働収縮亢進は片麻痺患者の麻痺側筋に認められ, 麻痺の強い筋に多く, 障害筋の部位と程度を示した.
ISSN:0034-351X