間欠的バルーンカテーテル拡張法により早期改善を認めた輪状咽頭筋弛緩不全の1例

【はじめに】扁桃周囲胸壁までのガス壊疽の症例が, 輪状咽頭筋弛緩不全を伴う摂食・嚥下障害を呈した. その症例に対して, 間欠的バルーンカテーテル拡張法(以下バルーン法とする)を試み, 良好な結果が得られたので報告する. 【症例および経過】64歳男性, 平成10年11月29日頚部の発赤と腫脹, 咽頭痛が出現し, 食事摂取困難となる. 12月2日当院受診, 頚部レントゲンおよびCTにてガス壊疽と診断された. 高圧酸素療法目的にて他院へ転院. 同日開放ドレナージ術施行. 12月10日当院へ転院となり, 12月21日摂食・嚥下障害, 発声障害に対して, 訓練以来があり言語療法開始した. 1月26日より...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 3; no. 2; p. 108
Main Authors 山本実, 松井章乃, 埜口義広, 太田清人, 小林孝誌, 廣瀬善清, 津田豪太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 01.12.1999
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ISSN1343-8441

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Summary:【はじめに】扁桃周囲胸壁までのガス壊疽の症例が, 輪状咽頭筋弛緩不全を伴う摂食・嚥下障害を呈した. その症例に対して, 間欠的バルーンカテーテル拡張法(以下バルーン法とする)を試み, 良好な結果が得られたので報告する. 【症例および経過】64歳男性, 平成10年11月29日頚部の発赤と腫脹, 咽頭痛が出現し, 食事摂取困難となる. 12月2日当院受診, 頚部レントゲンおよびCTにてガス壊疽と診断された. 高圧酸素療法目的にて他院へ転院. 同日開放ドレナージ術施行. 12月10日当院へ転院となり, 12月21日摂食・嚥下障害, 発声障害に対して, 訓練以来があり言語療法開始した. 1月26日よりバルーン法を開始し, 2月4日より段階的摂食訓練開始した. バルーン法は合計18日間実施し, 2月18日には全粥ミキサー菜が摂食可能となった. 【考察】本症例はバルーン法開始から, 18日間で全粥ミキサー菜摂食可能となったが, バルーン法を考案した角谷ら(1992)は約8週間の訓練期間を想定している. また北條ら(1997)は, 17例にバルーン法を用いて訓練を行い, 9例で効果が認められたと報告している. これら9例のうち, VF検査時のみバルーン法を行った1例および補助栄養が必要であった2例を除く6例では, 嚥下食で3食とも経口摂食可能となるまでの平均訓練期間は10週間であった. これらはすべて脳血管障害によるものであり, 単純に比較することはできないかもしれないが, 本症例はかなり早期に改善したと考える.
ISSN:1343-8441