定年退職時における健康教育の意義

働く人の有所見率の増加が問題となっているが, 特にそれは加齢と共に高くなる. しかし退職時に, 退職後に役に立つ健康教育を行うにあたっては, 退職者本人の健康意識調査を行い, それに基づいたきめ細やかな健康教育を行う必要がある. 対象は, 60歳で定年退職を迎えた男性391名, 女性109名に退職前教育の一環として行っている健康講演時にアンケート調査をした. 「退職後の自身の健康」では男女共に退職後の「自分の健康にやや不安」の訴えが最も多かった. 不安な病気としては, 男性では「高血圧」が, 女性では「がん」が1位であった. 感覚面では, 男女共に「視力」をあげた人が圧倒的に多かった. 退職後...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 48
Main Authors 小出龍郎, 巽あさみ, 小川斉, 山田琢之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.03.1998
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Summary:働く人の有所見率の増加が問題となっているが, 特にそれは加齢と共に高くなる. しかし退職時に, 退職後に役に立つ健康教育を行うにあたっては, 退職者本人の健康意識調査を行い, それに基づいたきめ細やかな健康教育を行う必要がある. 対象は, 60歳で定年退職を迎えた男性391名, 女性109名に退職前教育の一環として行っている健康講演時にアンケート調査をした. 「退職後の自身の健康」では男女共に退職後の「自分の健康にやや不安」の訴えが最も多かった. 不安な病気としては, 男性では「高血圧」が, 女性では「がん」が1位であった. 感覚面では, 男女共に「視力」をあげた人が圧倒的に多かった. 退職後の健康管理をどこでするかでは女性では「家庭医」とした回答も多く, このことは男性職員よりも退職前から地域社会に溶け込んでいる姿が伺える. 健康教育後に何らかの生活習慣が改善されたかの質問では, 男性22.7%, 女性38.9%と低い結果であり, 退職後に亙る継続した健康教育の必要性が感じられ, 今後検討したい.
ISSN:1341-0725
1349-533X