過去5年間, 京都府更生相談所における補装具の交付について

身体障害者にとって補装具は障害された機能を補い, ADLを行いやすくする上できわめて重要である. われわれは補装具の交付状態を把握することが, 身体障害者更生相談所における業務の適正化および障害者に対する指導の一助となることを期待して, 過去5年間(1985~1989)の年間45回の巡回相談と, 週2回の来所相談で判定した肢体不自由者への補装具の交付について調査した. 補装具の内容は, (1)上肢装具, (2)下肢装具, (3)体幹装具, (4)頭部保護帽, (5)車椅子, (6)杖, (7)義手, (8)義足の8項目に分類し, 各補装具の5年間の年次推移, 割合, 市部と群部の比較, 車椅子...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 28; no. 12; pp. 1107 - 1108
Main Authors 荒巻駿三, 岩破康博, 大友啓資, 西尾直子, 堀井基行, 久保俊一, 平沢泰介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 01.12.1991
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ISSN0034-351X

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Summary:身体障害者にとって補装具は障害された機能を補い, ADLを行いやすくする上できわめて重要である. われわれは補装具の交付状態を把握することが, 身体障害者更生相談所における業務の適正化および障害者に対する指導の一助となることを期待して, 過去5年間(1985~1989)の年間45回の巡回相談と, 週2回の来所相談で判定した肢体不自由者への補装具の交付について調査した. 補装具の内容は, (1)上肢装具, (2)下肢装具, (3)体幹装具, (4)頭部保護帽, (5)車椅子, (6)杖, (7)義手, (8)義足の8項目に分類し, 各補装具の5年間の年次推移, 割合, 市部と群部の比較, 車椅子交付者における他補装具の割合, 疾患分類について検討した. それによると, 年次推移では1987年と1988年の間に変化が認められたが大きなものではなく, 順位の逆転も認められなかった. 各補装具の割合は車椅子が33.5%で一番多く, 全体に下肢の補装具が上肢より多く, 移動動作の重要性を示唆していた. 地域的比較では, 市部が群部の1.5倍と多く, 交通の便, 住民数の相違によると判断できた. 車椅子における他補装具の割合は, 15%の人が交付されており, その中でも下肢装具の比率が高かった. 疾患別では中枢障害によるものが大半を占めていた. つまり中枢障害者に対する車椅子交付が非常に多く, 不必要に車椅子が交付されている可能性もある. 適合検査の充実とともに, 障害者に対するリハビリテーションの強化, 普及が望まれる. <質疑応答> 伊藤利之(横浜市総合リハセンター):車椅子の処方率が増加しているようですが, 処方目的は自立用, 介助用などと区別して調査されましたか. 荒巻駿三:車椅子の種類に対する交付数に関して:車椅子の種類による調査は行ってなく, 実施機関総数に対する比率と身更相における比率が大きく異なっていることから, 車椅子交付の際にはもっと指導が必要であると思われる. 荒巻駿三:補装具交付回数が複数のものも含まれているかに対して:5年間には有効期限が切れるため, 何回か処方しているものも含まれている.
ISSN:0034-351X