当院での脳卒中リハビリテーションのクリティカルパス試行の紹介

当院では, 入院患者の治療・看護・検査を計画的, 効率的に行い患者のQOLを高めるため, 種々の疾患のクリティカルパスを作成している. その一環として, 我々は脳卒中リハビリテーション入院患者のパスを作成した. 「方法」症例の標準化を図るべく, 当院の過去3年間の脳卒中リハ患者の在院日数, 基本動作獲得までの日数等を検討したが, 高次脳機能障害の有無, 麻痺の重症度, 発症からの期間, 自宅復帰か転院かにより, 大きくばらついており, 脳卒中リハとして, 単一のクリティカルパスを使用するのは不可能と判断した. そこで, 入院時麻痺度が中等度で, 重度な高次脳機能障害がなく, 自宅復帰が目標で,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 37; no. 12; pp. 1022 - 1024
Main Authors 加勢田美恵子, 木檜晃, 藤巻滋, 鷹野昭士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.2000
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ISSN0034-351X

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Summary:当院では, 入院患者の治療・看護・検査を計画的, 効率的に行い患者のQOLを高めるため, 種々の疾患のクリティカルパスを作成している. その一環として, 我々は脳卒中リハビリテーション入院患者のパスを作成した. 「方法」症例の標準化を図るべく, 当院の過去3年間の脳卒中リハ患者の在院日数, 基本動作獲得までの日数等を検討したが, 高次脳機能障害の有無, 麻痺の重症度, 発症からの期間, 自宅復帰か転院かにより, 大きくばらついており, 脳卒中リハとして, 単一のクリティカルパスを使用するのは不可能と判断した. そこで, 入院時麻痺度が中等度で, 重度な高次脳機能障害がなく, 自宅復帰が目標で, 日常生活が歩行で自立することを目標に設定できる群を対象としたパスを作成した. 医師, 看護婦, PT,OT,ST,MSWが時系列にそった統一シートに記録した. 患者むけのパスも作成し, 訓練の状況, 予定を理解しやすいようにイラスト化した. 「結果」3例の患者に試行したが, 経過中に訓練部門と病棟ADLの乖離が見られ, パスの遂行困難となった. しかし, 患者を含めたチーム間のコミュニケーションが密になり情報の共有化はでき, 患者へのインフォームド・コンセントには役立った. 今後は, パスをより実用的にするには, FRGをもとにいくつかのパスを作用し, それを乗り継いでゆくラディカルアウトカム形式も検討されるべきと思った.
ISSN:0034-351X