洗浄血小板輸血の経験

【目的】血液疾患患者には血小板輸血回数がふえることが予想されるため, 血小板フィルター(ポールPL-5)を使用しているが, 回数が増加するにつれ, 発熱や発疹時に呼吸困難やショックなど副作用を経験することがある. 今回再発ALLの男児が血小板輸血開始直後, 呼吸困難となり, 血圧低下をきたしたため, 血漿側に問題があると考え, 洗浄血小板輸血を行ない, 副作用を回避できたので報告する. 【結果】ALL再発導入中の10才男児に, 2回の洗浄血小板を輸血した. 洗浄血小板の調整は東京都駒込赤十字血液センターの協力を得ておこなった. 洗浄および浮遊液の調整は無菌室内でバックにアダプターをつけ, 連結...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 40; no. 2; p. 388
Main Authors 和田恵美子, 鈴木義一, 戸栗恭子, 小坂邦子, 後藤佳子, 田村まり子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1994
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】血液疾患患者には血小板輸血回数がふえることが予想されるため, 血小板フィルター(ポールPL-5)を使用しているが, 回数が増加するにつれ, 発熱や発疹時に呼吸困難やショックなど副作用を経験することがある. 今回再発ALLの男児が血小板輸血開始直後, 呼吸困難となり, 血圧低下をきたしたため, 血漿側に問題があると考え, 洗浄血小板輸血を行ない, 副作用を回避できたので報告する. 【結果】ALL再発導入中の10才男児に, 2回の洗浄血小板を輸血した. 洗浄血小板の調整は東京都駒込赤十字血液センターの協力を得ておこなった. 洗浄および浮遊液の調整は無菌室内でバックにアダプターをつけ, 連結管を使用しヴィーンD250mlを入れ, 更に, ACD-A液75mlを加えメイロンのアンプルを切り注射筒で20mlとり, アダプターから加えた. 血小板の洗浄は高単位血小板に1/10容量のACDを加え, 3500回転5分遠心後上清を除去し, 洗浄浮遊液200mlを加え, ただちに水平振とうし, 更に3500回転5分遠心後上清を除去し洗浄浮遊液を加え200mlとし, 水平振とうした. 第1回目の洗浄血小板の調整ではpHは1回洗浄後pH6.47, 血小板回収率74%, 蛋白除去率98%2回洗浄後pH6.55であった. 第2回目の調整では血小板回収率83%蛋白除去率90%, pH6.65であった. 洗浄血小板輸血後の副作用は全くみられなかった. 洗浄することにより, やや回収率はおちるが副作用を回避し, 臨床効果を期待しうると思われる.
ISSN:0546-1448