ポリサルホン樹脂の矯正治療への応用

ポリサルホン樹脂は, 近年, 医用器機, 食品産業器機等に, 広範な用途をもち, 歯科の分野にも応用されはじめている. その一つには, レイニング工法を用いた高速射出成形によって作製された, 義歯・クラウンなどがある. 当教室では, 新しい試みとし, ポリサルホン樹脂の板状材料を用い, 圧力成形法により, 床矯正装置を作製することが可能であることを見いだした. この方法の利点としては, 操作は簡便であり, 器機が小型で済むこと, さらには, 研磨も必要とせずに光沢を保つことがあげられる, 今回, ポリサルホン樹脂と, 従来より, 矯正床材料に用いられている. 常温重合レジン, ポリカーボネート...

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Published in昭和歯学会雑誌 Vol. 2; no. 2; pp. 183 - 184
Main Authors 今井哲, 小林廣之, 加藤博重, 柴崎好伸, 福原達郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学・昭和歯学会 01.03.1983
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ISSN0285-922X

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Summary:ポリサルホン樹脂は, 近年, 医用器機, 食品産業器機等に, 広範な用途をもち, 歯科の分野にも応用されはじめている. その一つには, レイニング工法を用いた高速射出成形によって作製された, 義歯・クラウンなどがある. 当教室では, 新しい試みとし, ポリサルホン樹脂の板状材料を用い, 圧力成形法により, 床矯正装置を作製することが可能であることを見いだした. この方法の利点としては, 操作は簡便であり, 器機が小型で済むこと, さらには, 研磨も必要とせずに光沢を保つことがあげられる, 今回, ポリサルホン樹脂と, 従来より, 矯正床材料に用いられている. 常温重合レジン, ポリカーボネート樹脂との理工学的検討を行った結果, ポリサルホン樹脂は, 他樹脂と比較すると, 安定性があり, 曲げ強さが大きいことがわかった. そこで, 当教室で開発した装置のつくりかた, ならびに, 試作した装置について報告した. 今後, 臨床例をふやすとともに, 維持装置との接着に重点をおき, 検討してゆくつもりである.
ISSN:0285-922X