Spectra Ver.6 による末梢血幹細胞採取の経験

【目的】近年の末梢血幹細胞採取(PBSCH)の普及に伴って新しい成分採取装置の開発が続いている. 今回米国COBE社により新たに開発されたPBSCH専用プログラムを搭載した全自動の Spectra Ver, 6 によるPBSCHを経験したので, その成績について報告する. 【対象および方法】当院外科および血液内科に入院中の乳癌愚者2例, 悪性リンパ腫患者1例, NHL1例の合計4例の患者を対象として, 化学療法剤およびG-CSFの投与後, 白血球数が3000-4000/μlに回復した時期に採取を行った. 採取は可能な限り条件を統一させるために, 同一の患者から初日はVer. 4にて, そして2...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 44; no. 2; p. 163
Main Authors 長峯由紀, 武井美恵子, 中村嘉彦, 城所正子, 倉島志保, 板垣浩行, 猪口貞樹, 加藤俊一, 徳田裕, 増本暁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.04.1998
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ISSN0546-1448

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Summary:【目的】近年の末梢血幹細胞採取(PBSCH)の普及に伴って新しい成分採取装置の開発が続いている. 今回米国COBE社により新たに開発されたPBSCH専用プログラムを搭載した全自動の Spectra Ver, 6 によるPBSCHを経験したので, その成績について報告する. 【対象および方法】当院外科および血液内科に入院中の乳癌愚者2例, 悪性リンパ腫患者1例, NHL1例の合計4例の患者を対象として, 化学療法剤およびG-CSFの投与後, 白血球数が3000-4000/μlに回復した時期に採取を行った. 採取は可能な限り条件を統一させるために, 同一の患者から初日はVer. 4にて, そして2日目はVer. 6にて採取を行った. Ver. 4は従来の方法通り, 白血球採取プログラム中のMNC採取モードにて採取ライン中の赤血球の混入を手動調整する方法にて, Ver. 6では白血球採取プログラム中の自動PBSCHモードにて専用のフィラーを用いる dualstage 分離channelを用いて行った. 【結果】Ver. 4, Ver. 6にて採取された患者の採取前の末梢血はそれぞれ平均でWBC 21000/μl, 36000/μl, 単核球分画は27.3%, 23.4%であり, 血小板数はそれぞれ20.5万/μl, 10.5万/μlであった. また, CD34陽性細胞比率は全白血球分画で, それぞれ平均で0.42%, 0.17%でありVer. 6使用患者群が低い値であった. これらの患者よりの採取結果は, 平均総処理血液量がVer. 4, Ver. 6それぞれ10224.6ml, 8212.3mlで平均処理時間は175.2分154.2分であり, 1L当りの血液処理時間は17.8分, 19.0分であった. 採取された末梢血液はそれぞれ平均312.6ml, 58. 6ml, 総白血球数は1.63x10^10 個, 2.84X10^10 個, CD34陽性細胞比率は0.85%, 0.66%で総数は1.38×10^8 個, 2.84×10^8 個であった. また, 混入した血小板はそれぞれ平均で16.8U, 5.1Uであり, 患者末梢血小板数の減少率は-44.9%, -31.4%であった. しかしなら, 単核球分画の比率ではそれぞれ, Ver・4,Ver. 6で平均90.2%, 59.4%であり, Ver. 6における好中球系の混入が多い結果であった. 【考察】今回試行運転できた Spectra Ver. 6 はその改良点として体外循環血液量の減少, 混入血小板数の減少そして採取の全自動化が上げられいる. 今回の我々の結果でも, Ver. 4に比較して全自動運転にて混入血小板が少なく, 高濃度に濃縮された状態にて高いCD34陽性細胞の採取結果が得られた. しかしながら, 単核球分画の比率が低く運転条件を含め今後の課題と思われた. さらに解凍後のCFU-GMについては現在検討中である.
ISSN:0546-1448