Fogartyカテーテルによる血栓除去術後に下肢巨大仮性動脈瘤を形成した1例

症例は89歳, 女性. 主訴は右下腿の腫張, 疼痛. 1998年, 心房細動に伴う右下肢の急性動脈閉塞を発症し, 他院にてFogartyカテーテルによる血栓除去術を受けた. フォローアップ造影で右後脛骨動脈に仮性動脈瘤を認めたが, 経過観察されていた, 2003年末より右腓腹部に腫脹が出現. 2004年4月より急速な増大を呈し, 疼痛が出現, 増強したため当院を受診した. MRIで右腓腹部に7×8×10cmの腫瘤を認め, 瘤内部はガドリニウムにより限局性の増強を呈した. 血管造影にて後脛骨動脈の巨大仮性動脈瘤と診断し, 年齢および瘤の大きさから手術による切除は高リスクと考え, コイル塞栓術を施...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 38; no. 5; pp. 474 - 479
Main Authors 鈴木ゆき, 竹下聡, 田守唯一, 樫田光夫, 廣江道昭, 蓮尾金博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 15.05.2006
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488

Cover

More Information
Summary:症例は89歳, 女性. 主訴は右下腿の腫張, 疼痛. 1998年, 心房細動に伴う右下肢の急性動脈閉塞を発症し, 他院にてFogartyカテーテルによる血栓除去術を受けた. フォローアップ造影で右後脛骨動脈に仮性動脈瘤を認めたが, 経過観察されていた, 2003年末より右腓腹部に腫脹が出現. 2004年4月より急速な増大を呈し, 疼痛が出現, 増強したため当院を受診した. MRIで右腓腹部に7×8×10cmの腫瘤を認め, 瘤内部はガドリニウムにより限局性の増強を呈した. 血管造影にて後脛骨動脈の巨大仮性動脈瘤と診断し, 年齢および瘤の大きさから手術による切除は高リスクと考え, コイル塞栓術を施行した. 瘤内の血栓は一部器質化していたため, 瘤の完全な消退は得られなかったが, 瘤の縮小に伴い自覚症状は著明に改善した. コイル塞栓術は, 瘤切除やステント留置が困難な症例にも施行可能であり, 本症例のような慢性例に対しても有用な治療法と考え, ここに報告する.
ISSN:0586-4488