HLA-polymorphic determinant陰性細胞とNK細胞によるキラーとの関連について
MHC-クラスI抗原とnatural killer(NK)細胞のキラー作用との間に密接な関連があり, クラスI抗原陽性細胞はNK細胞によって破壊されることはない. Myeloid leukemia cell line K562はクラスI抗原を有しておらず, この細胞はNK細胞によって破壊される. 今回我々はある患者から株化した細胞でクラスIのうち, polymorphic determinant(PMD)陰性・-monomorphic determinant(MMD)陽性という細胞(H42)を実験に用いることができた. そこでその細胞のクラスIの抗原性とNK細胞による破壊の関連についてK562...
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Published in | 日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 2; p. 278 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本輸血学会
01.04.1997
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ISSN | 0546-1448 |
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Summary: | MHC-クラスI抗原とnatural killer(NK)細胞のキラー作用との間に密接な関連があり, クラスI抗原陽性細胞はNK細胞によって破壊されることはない. Myeloid leukemia cell line K562はクラスI抗原を有しておらず, この細胞はNK細胞によって破壊される. 今回我々はある患者から株化した細胞でクラスIのうち, polymorphic determinant(PMD)陰性・-monomorphic determinant(MMD)陽性という細胞(H42)を実験に用いることができた. そこでその細胞のクラスIの抗原性とNK細胞による破壊の関連についてK562, 及び同一患者から別に株化した細胞(H41)と比較しながら検討したので報告する. 方法:H41及びH42はある膀胱癌患者から株化したが患者は1980年に診断され, 種々の治療及び経尿道腫瘍摘除術を繰替された. しかし腫瘍の浸潤が認められたので1985年4, 000cGyの放射線照射のあと, 膀胱全摘術を受けた. H41は照射前, H42は照射後にいずれも手術時に株化された. NK活性は4h-^^51 Cr release assayにて, 抗MMD抗体はW6/32(DAKO)を用い, 抗PMD抗体は患者から得たHLA抗体のプール血清を使用した. 結果:K562及びH42はNR細胞に対してsensitive, H41はresistantであった. 一方H41はPMD(+)・MMD(+), H42はPMD(-)・MMD(+), K562は両方とも陰性であった. またHLAの検査ではH42, K562はともにLCT法ではダイビングできなかった. そのためH42のNK-sensitiveはPMD(-)に由来するものと考えられた. H41, H42はそれぞれ放射線照射の前・後に株化されたので, H42のPMDの脱落は放射線照射の影響によるものと判断された. この患者は1986年以後腫瘍が消失し, 現在tumorfreeの状態にある. 結論:従来K562はNK-sensitiveとされてきたが, NK活性との関連を考える場合クラスIはPMDとMMDに分ける必要がある. そういう意味でH42は示唆に富む細胞と思われた. またこの患者がtumor freeに至ったのは腫瘍細胞がNK-resistantからNK-sensitiveに転換したためと推測された. |
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ISSN: | 0546-1448 |