慢性関節リウマチ患者の腰背部痛と単純X線像・骨密度について

「目的」慢性関節リウマチ(RA)の胸腰椎に関しての報告は少ないので, 腰背部痛と単純X線・骨密度との関係を調査したリハビリテーション(以下, リハ)への影響を調べた. 「対象・方法」対象はRA患者23例(男性3, 女性20), 平均年齢63.3歳(47~83), RA歴は平均12.6年(1~34)であった. 脊椎固定術5例(頸椎5, 腰椎1), 人工関節置換術7例(股5, 膝1, 肘1), 指伸筋腱再建術2例, 内科的治療9例であった. 調査項目は, 1. 腰背部痛の有無とリハ制限・中止の有無. 2. 胸椎・腰椎単純X線像. 3. 骨密度(BMD:g/平方センチメートル)はDXA法で測定し,...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 936
Main Authors 近藤総一, 蜂谷將史, 大成克弘, 山田勝久, 長岡章平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1999
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ISSN0034-351X

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Summary:「目的」慢性関節リウマチ(RA)の胸腰椎に関しての報告は少ないので, 腰背部痛と単純X線・骨密度との関係を調査したリハビリテーション(以下, リハ)への影響を調べた. 「対象・方法」対象はRA患者23例(男性3, 女性20), 平均年齢63.3歳(47~83), RA歴は平均12.6年(1~34)であった. 脊椎固定術5例(頸椎5, 腰椎1), 人工関節置換術7例(股5, 膝1, 肘1), 指伸筋腱再建術2例, 内科的治療9例であった. 調査項目は, 1. 腰背部痛の有無とリハ制限・中止の有無. 2. 胸椎・腰椎単純X線像. 3. 骨密度(BMD:g/平方センチメートル)はDXA法で測定し, 標準偏差(±S. D. )と同一年齢比を計測した. 「結果」腰背部痛が13例に認められ, 強い疼痛のためリハの制限・中断が4例であった. 単純X線上圧迫骨折が13例(楔状型10, 破裂型3), すべりが11例(L4が9例, L3が2例)であった. 椎体骨折は複数椎体高位に及んでおり13例中3例に, すべりは椎体骨折がなかった1例が腰背部痛のためにリハが制限された. BMD=平均0.54g/平方センチメートル, S. D. =-0.92, 同一年齢比=平均87.9%であった. 同一年齢比は70%未満が4例に認められ, RA発症10年以上が78.6%と, 10年未満の97.2%に比べて小さく, 骨密度が低く骨粗鬆の傾向があった. 「結論」RA胸腰椎病変で, 椎体圧潰はコントロール不良で初発後10年以上, 長期ステロイド療法による骨粗鬆やRA病変による骨欠損が要因である. すべりはRA病変の椎間関節罹患で胸椎には稀で, 比較的良好なコントロール例に多く, 神経根症状少なく慢性腰痛か無症状が多い. 腰背部痛は慢性で鈍痛が主であったためリハ制限・中断などの影響は少なかった.
ISSN:0034-351X