抗HPA-4b抗体保有妊婦における新生児血小板減少症発症の危険因子解析

本邦では, HPA-4b抗原不適合による新生児血小板減少症(NAIT)が多く, 原因抗原抗体として重要である. 過去9年間で妊婦21,354名のHPA抗体スクリーニングを行い, HPA-4b抗体陽性であった39名(0.18%)について, 抗体価測定(MPHA法), 母児血小板型タイピング(PCR-SSP法), 児の血小板数を調査した. NAIT6例中2例は新生児血小板減少性紫斑病(NAITP)まで進展した. 妊娠回数が多くなると抗体価が高くなる傾向がみられた. HPA-4b不適合児では適合児と比較し出生時血小板数が有意に減少していたが(15.3±12.0×10^4 /ul vs 27.0±6,...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 46; no. 3; p. 335
Main Authors 竹内千華子, 山口富子, 遠山ゆり子, 加藤久美子, 安田広康, 大戸斉, 山口脩, 森田庄治, 榎本隆行, 半戸啓一, 石島あや子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.06.2000
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ISSN0546-1448

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Summary:本邦では, HPA-4b抗原不適合による新生児血小板減少症(NAIT)が多く, 原因抗原抗体として重要である. 過去9年間で妊婦21,354名のHPA抗体スクリーニングを行い, HPA-4b抗体陽性であった39名(0.18%)について, 抗体価測定(MPHA法), 母児血小板型タイピング(PCR-SSP法), 児の血小板数を調査した. NAIT6例中2例は新生児血小板減少性紫斑病(NAITP)まで進展した. 妊娠回数が多くなると抗体価が高くなる傾向がみられた. HPA-4b不適合児では適合児と比較し出生時血小板数が有意に減少していたが(15.3±12.0×10^4 /ul vs 27.0±6,9×10^4 /ul), 3日後では差はなかった. 不適合児間で抗体力価による血小板数は統計学的に差はなかったが, 64倍をこえると血小板減少を呈する児の割合は75%であり, 血小板数の回復も遅いことからNAIT発症の危険率が高くなると考えられた.
ISSN:0546-1448