記憶障害に対するリハビリテーションアプローチ
スポーツ事故による重症頭部外傷, 16歳, 男性に対し, 復学を目標に比較的早期から記憶障害に対するリハビリテーション(以下, リハ)アプローチを試みた. 記憶の評価には, HDS, Benton視覚記銘テストを参照にした独自の簡易評価法(50点満点)を用いた. 最初14点であったが, 退院時31点, 現在は41点まで改善した. 記憶訓練のアプローチとしては, 日常的問題に即して, 以下の課題を施行した. 1)5つの単語記銘:5分間の記憶防害後5分の5再生可能となった. 2)担当者の記憶:最初困難だったが, 現在は可能となる. 3)リハスタッフ10名の顔写真と姓想起課題:入院中は単純想起, 視...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; p. 861 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.11.1996
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | スポーツ事故による重症頭部外傷, 16歳, 男性に対し, 復学を目標に比較的早期から記憶障害に対するリハビリテーション(以下, リハ)アプローチを試みた. 記憶の評価には, HDS, Benton視覚記銘テストを参照にした独自の簡易評価法(50点満点)を用いた. 最初14点であったが, 退院時31点, 現在は41点まで改善した. 記憶訓練のアプローチとしては, 日常的問題に即して, 以下の課題を施行した. 1)5つの単語記銘:5分間の記憶防害後5分の5再生可能となった. 2)担当者の記憶:最初困難だったが, 現在は可能となる. 3)リハスタッフ10名の顔写真と姓想起課題:入院中は単純想起, 視覚イメージによる訓練を行ったが, 視覚イメージを利用することはできなかった. 退院後, cueとしての初頭音を利用したら, 9/10可能となった. ヒントを与えなくても「あ」から順番にさがしていき, 正解まで到達する方策はとれなかった. 4)道順ならびに口頭指示による用事の記憶課題:2回目の施行より問題なく可能となる. 5)16枚の神経衰弱:良好な結果が得られた. 6)ハノイの塔:手順を覚えることができなかった. 【結語】訓練課題は日常記憶の問題に即して設定することで, 動機づけを維持し, 強化しうることが期待される. 受傷後12カ月目に復学し, その1カ月後より通常授業へ出席となったが, 新たな問題の出現する可能性のあることから, 今後も継続的に追跡することが必要と考える. |
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ISSN: | 0034-351X |