前十字靱帯再建術後の下肢筋力の回復と基本運動能力について

ACL再建膝に対して筋力測定および機能テスト(以下FAT:functional ability test)を行ったのでその結果を報告する. 「症例と方法」ACL再建術後1年の患者40例と, 健常者35例を対象とした. FATの項目は, 直進6m往復走, 片脚階段昇降, 片脚垂直飛び, 片脚立ち幅跳びである. 健常者の結果からFATの正常値を, ACL術後患者の結果からFATの有用性を検討した. 「結果」いずれのテストも健常者の男女間に有意な差をみた. しかし片脚で行う階段昇降, 垂直飛び, 立ち幅跳びの左右比を比較すると, 片脚階段降以外には男女間の有意差をみなかった. これらの結果より階段降...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 34; no. 12; p. 918
Main Authors 山本泰宏, 吉松俊一, 望月和憲, 黒岩真澄, 大矢昌宏, 西敬吾, 藤森日登美, 山崎裕子, 米沢京子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.12.1997
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Summary:ACL再建膝に対して筋力測定および機能テスト(以下FAT:functional ability test)を行ったのでその結果を報告する. 「症例と方法」ACL再建術後1年の患者40例と, 健常者35例を対象とした. FATの項目は, 直進6m往復走, 片脚階段昇降, 片脚垂直飛び, 片脚立ち幅跳びである. 健常者の結果からFATの正常値を, ACL術後患者の結果からFATの有用性を検討した. 「結果」いずれのテストも健常者の男女間に有意な差をみた. しかし片脚で行う階段昇降, 垂直飛び, 立ち幅跳びの左右比を比較すると, 片脚階段降以外には男女間の有意差をみなかった. これらの結果より階段降と往復走以外は2SD以上の偏差を異常値とし, 各テストの正常値を決定した. 術後1年で膝伸展力/体重比65%以上の症例を大腿四頭筋筋力健側比85%以上の16例と, 85%以下の7例に分けて, FATで正常値を示した種目数の人数をみると, 大腿四頭筋筋力健側比85%以下の症例では全例全種目正常であったが, 85%以上の症例のうち全種目正常であったのは16例中4例のみであった. 従って大腿四頭筋筋力健側比とは独立した評価基準であると考えられた. 「結論」われわれが行っているFATは従来より報告されている膝関節安定性, 大腿四頭筋筋力の健側比に加えて有効な評価方法と考えられる.
ISSN:0034-351X