von Recklinghausen病による顔面非対称症例の治療経験

「緒言」 von Recklinghausen病(neurofibromatosis type I;以下NF Iと略す)は, 皮膚のカフェオーレ斑と多発性の神経線維腫を特徴とする外胚葉系の常染色体優性遺伝性疾患である. 多発性神経線維腫症は口腔領域にも発生し, ときに顎顔面骨に変形を生じることが知られているが1~3), 顎矯正手術を行った症例報告は極めて少ない1). われわれはNF I患者で, 下顔面軟組織の神経線維腫によって続発性に発症した顔面非対称に対し外科的矯正治療を経験し, 骨格的な改善が得られたので, その概要を報告する. 「症例」 患者:20歳 男性 初診:2004年5月 主訴:顔...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 19; no. 1; pp. 16 - 23
Main Authors 泉喜和子, 宇治寿隆, 中山修二, 岡本愛彦, 下田恒久, 池邉哲郎, 大関悟
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本顎変形症学会 15.04.2009
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Summary:「緒言」 von Recklinghausen病(neurofibromatosis type I;以下NF Iと略す)は, 皮膚のカフェオーレ斑と多発性の神経線維腫を特徴とする外胚葉系の常染色体優性遺伝性疾患である. 多発性神経線維腫症は口腔領域にも発生し, ときに顎顔面骨に変形を生じることが知られているが1~3), 顎矯正手術を行った症例報告は極めて少ない1). われわれはNF I患者で, 下顔面軟組織の神経線維腫によって続発性に発症した顔面非対称に対し外科的矯正治療を経験し, 骨格的な改善が得られたので, その概要を報告する. 「症例」 患者:20歳 男性 初診:2004年5月 主訴:顔面の変形 家族歴:父親は健常, 母親はNF I, 兄弟は姉3人であり, NF I発病は本人のみであった. 現病歴:1984年(3歳時)に左側頬部に腫瘤を自覚し, 某大学病院小児科を受診し, NF Iの診断下に経過観察となった.
ISSN:0916-7048