人工股関節置換術をうけた慢性関節リウマチ患者の追跡調査
【目的】慢性関節リウマチ(RA)に対して人工股関節置換術(THR)を施行した患者のその後の経過をたどり現在の状態を知るために以下の調査を行った. 【対象および方法】1978年以降THRを施行したRA患者55人. 手術時年齢28~80歳(平均55歳). 術後経過年数6カ月~16年8カ月(平均7年8カ月)であった. このような患者の術後経過, 現在の移動手段, ADL, QOLについて直接面談, アンケート, 電話などにより調査した. 【結果】55人中35人(64%)が生存していたが, 14人(25%)は術後5カ月~9年(平均4年)で死亡していた. また30人(55%)が2関節以上(そのうち10人...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 30; no. 11; pp. 875 - 876 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
01.11.1993
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 【目的】慢性関節リウマチ(RA)に対して人工股関節置換術(THR)を施行した患者のその後の経過をたどり現在の状態を知るために以下の調査を行った. 【対象および方法】1978年以降THRを施行したRA患者55人. 手術時年齢28~80歳(平均55歳). 術後経過年数6カ月~16年8カ月(平均7年8カ月)であった. このような患者の術後経過, 現在の移動手段, ADL, QOLについて直接面談, アンケート, 電話などにより調査した. 【結果】55人中35人(64%)が生存していたが, 14人(25%)は術後5カ月~9年(平均4年)で死亡していた. また30人(55%)が2関節以上(そのうち10人は3関節以上)の人工関節置換術を受けていた. 生存者でアンケート回答のあった33人のうち, 寝たきりは1人, 車椅子移動が2人で, 30人は歩行可能であった. そのうち屋内歩行は8人で, 13人が家の周辺程度, 9人が1 km以上の歩行が可能であった. また, 非手術部の下肢の関節痛が増加するにつれて, 歩行能力の低下がみられた. ADLでは, 食事とトイレ動作は比較的保たれていた. 以上のことより, THRを施行したRA患者の一部は比較的長期にわたり移動能力およびADL機能を維持していることがわかった. しかし歩行能力を維持するためには多関節の人工関節置換術を行うことも多く, 手術の適応を考える場合, それに耐えられるだけの意欲と体力を十分考慮する必要がある. |
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ISSN: | 0034-351X |