衝突法による脳卒中後片麻痺患者の上肢運動神経の評価

【目的】脳卒中後麻痺肢に関する下位運動ニューロンの質的変化を評価するため, 麻痺側と非麻痺側の正中神経に対して衝突法(Hopf法および可変強度刺激法)による評価を行った. 対象は末梢神経障害をきたす基礎疾患のない慢性期脳卒中患者13名(66.8±8.3歳, 発症後6カ月~9年). 【結果】麻痺側で最大伝導速度は低下し, F波最小潜時は延長しており, Hopf法による分布は麻痺肢で全体に遅いほうにシフトしていた. これはBrunn-strom Stageの低いものほど, よりシフトが著しかった. しかし可変強度刺激法による最小伝導速度はいずれにも差がなかった. 【考察】最大伝導速度が麻痺肢で低下...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 33; no. 11; p. 850
Main Authors 森下真次, 榊原敏正, 祖父江元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1996
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Summary:【目的】脳卒中後麻痺肢に関する下位運動ニューロンの質的変化を評価するため, 麻痺側と非麻痺側の正中神経に対して衝突法(Hopf法および可変強度刺激法)による評価を行った. 対象は末梢神経障害をきたす基礎疾患のない慢性期脳卒中患者13名(66.8±8.3歳, 発症後6カ月~9年). 【結果】麻痺側で最大伝導速度は低下し, F波最小潜時は延長しており, Hopf法による分布は麻痺肢で全体に遅いほうにシフトしていた. これはBrunn-strom Stageの低いものほど, よりシフトが著しかった. しかし可変強度刺激法による最小伝導速度はいずれにも差がなかった. 【考察】最大伝導速度が麻痺肢で低下し, Hopfの分布での異常がみられたことは, 大径の運動神経線維の障害などが示唆された. しかし可変強度刺激法での最小伝導速度が不変であることより, これらは主に大径の早い運動単位の障害と推定された. またHopfの分布は不応期に大きく影響されることから, 神経のみならず, 筋の質的変化(type II B萎縮など)による不応期の変化なども反映している可能性がある. 衝突法はこれら神経, 筋の質的機能的変化を評価できる可能性があると考えられた.
ISSN:0034-351X