末梢血幹細胞移植における効率的幹細胞採取と早期移植の重要性について

(緒言)近年, 末梢血幹細胞移植は悪性腫瘍の治療に盛んに用いられるようになった. 当科においても27人の悪性腫瘍の小児より97回の末梢血幹採取を行い, 13人の患者に移植した. しかし, 十分採取する前に再発死亡した患者も多数いた. 短期間に効率的に採取することが末梢血幹細胞採取の際, 非常に重要である. 当科での経験を基に, 効率的な採取方法について検討してみた. (対象)NHL:6, ALL:6, AML:4, CML:1, Biphenotypic 1 eukemia:1, Neuroblastoma:4, Wilms tumor3, RMS 1, Askin tumor:1, から採取...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 2; p. 533
Main Authors 浦島充佳, 出口靖, 上條誠, 内山浩史, 藤沢康司, 加藤陽子, 星順隆, 赤塚順一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.05.1993
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Summary:(緒言)近年, 末梢血幹細胞移植は悪性腫瘍の治療に盛んに用いられるようになった. 当科においても27人の悪性腫瘍の小児より97回の末梢血幹採取を行い, 13人の患者に移植した. しかし, 十分採取する前に再発死亡した患者も多数いた. 短期間に効率的に採取することが末梢血幹細胞採取の際, 非常に重要である. 当科での経験を基に, 効率的な採取方法について検討してみた. (対象)NHL:6, ALL:6, AML:4, CML:1, Biphenotypic 1 eukemia:1, Neuroblastoma:4, Wilms tumor3, RMS 1, Askin tumor:1, から採取し, NHL:4, AML:3, ALL:1, CML:1, NB:1, Wilms:1, RMS:1, Aslin:1, に対して移植した. また, 化学療法後agranulocytosis+ severe infectionの状態で2例に対して末梢血幹細胞を輸注した. 採取前の治療は基本的に厚生省班プロトコールまたはTCCSG治療プロトコールに基ついて行われた. (結果)採取細胞数, 採取CFU-GM, 採取CD34陽性細胞は, G-CSFを併用することによって増加した. 特に白血球数が高値かつ血小板数が10x10^4 /ul以上の時に採取効率が増大した. また, 骨髄抑制後の造血機能の早い症例における採取効率も高かった. また, 固形腫瘍では骨髄転移のない症例の方が採取効率が良かった. 諸条件が合致すれば一回の採取で移植に十分な幹細胞の採取が可能であった. また実際一回で採取した幹細胞を移植し速やかな生着をえた. 治療成績は原疾患によるが, 初回寛解で移植したものはよく, 2回目以降の寛解で移植したものは不良であった. 発症後1年以上経って移植したものの予後は不良であった. 血液腫瘍において採取開始が3か月, 4か月のものに6か月以内に再発をみた. (考案)以上の経験より, 比較的早期(発症4-5ヵ月頃)より末梢血幹細胞の採取を開始し, 短期間で採取を終了し, 遅くとも1年以内に移植するのが適切である考えた.
ISSN:0546-1448