極低出生体重児の体外循環の経験
【目的】今回, 極低出生体重児の体外循環症例を経験したので, 報告する. 【症例】在胎33週, 双胎第一子の男児. 呼吸障害があり, 人工呼吸器管理を行っていたが, 生後16日, 先天性心疾患が疑われたため, 当院搬送となった. 小児循環器科心エコーにて, 総肺静脈還流異常症・下心臓型(TAPVC3), 心房中隔欠損(ASD), 肺静脈狭窄(PVO), 肺高血圧症(PH)と診断された. 生後18日, 体重1.105kgの極低体重児であったが緊急根治手術となる. 【経過】人工肺は, TERUMO社製「CX-RX05RW」, 回路はTERUMO社製「SSS回路」, 血液濃縮器はJMS社製「AS11...
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Published in | 体外循環技術 Vol. 35; no. 2; p. 194 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本体外循環技術医学会
01.06.2008
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ISSN | 0912-2664 |
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Summary: | 【目的】今回, 極低出生体重児の体外循環症例を経験したので, 報告する. 【症例】在胎33週, 双胎第一子の男児. 呼吸障害があり, 人工呼吸器管理を行っていたが, 生後16日, 先天性心疾患が疑われたため, 当院搬送となった. 小児循環器科心エコーにて, 総肺静脈還流異常症・下心臓型(TAPVC3), 心房中隔欠損(ASD), 肺静脈狭窄(PVO), 肺高血圧症(PH)と診断された. 生後18日, 体重1.105kgの極低体重児であったが緊急根治手術となる. 【経過】人工肺は, TERUMO社製「CX-RX05RW」, 回路はTERUMO社製「SSS回路」, 血液濃縮器はJMS社製「AS11」を使用し, RCC2単位を洗浄, 濃縮し, プライミング液とした. 送血は, 腕頭動脈にJMS社製「2.1mmつば無し」を挿入し, 脱血は, 右心房にMERA社製「フレックメイト10Fr」の一本脱血とし, 体外循環を開始した. 脱血は一本脱血のままとし, 直腸温を18℃にし, 心停止をかけ, 循環停止とした. 右心房の脱血管を抜去し, 右心房を切開し, 左心房も切開して, 心内修復をおこなった. 共通肺静脈と左心房の吻合が終了し, 右心房の脱血管は抜去したままで, 送血を開始し, ゆっくり復温開始を行った. その間, 右心房への血液は吸引で対応した. ASD心膜パッチ閉鎖終了時, 充分な左心系のAir抜きをしながら, 大動脈遮断解除した. 右心房閉鎖終了直前, 右心房に再び, 抜去した脱血管を挿入し, 術野で直接右心房内にCVPカテを留置した. 体温の上昇を待ち, 呼吸再開, 出血の有無を確認し, CBPからの離脱を行い, MUFを15分間行った. CPB時間は2時間43分, 大動脈遮断時間は50分, 循環停止時間は22分であった. 術後経過は, 特に問題なく順調であった. 今回, 通常のCPBと異なる点は, 極低体重児ではルート確保困難であった為, CBP中の離脱直前までCVPのモニタリングが無かった. また, 心臓自体も非常に小さいく, 通常SVC, IVC二本脱血で行うところ, 一本脱血とし, 循環停止法で行った. 【結語】極低体重児では, 術野もより小さく, 通常のCPBより生体情報が少ないため, 慎重なCPB操作が必要で, かつ, 通常のCPB操作と異なる為, 術者側とのコミュニケーションがより重要と考えられた. |
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ISSN: | 0912-2664 |