大腿骨頸部骨折に対するセメントレス人工股関節の治療成績
我々は海綿骨に類似したフルポーラス形状を有するリューベック型セメントレス人工股関節の適応を拡大して, 大腿骨頸部内側および外側骨折の治療成績を検討した. 本人工股関節を使用し2年以上を経過した内側骨折26例, 外側骨折8例合計34例を対象とした. 年齢は48~92歳であった. 内側骨折は術後1週で起立訓練を開始し疼痛のない範囲での荷重を許可した. 外側骨折は転子部の骨接合の状態を考慮しつつ術後4~8週で全荷重を許可した. 術後の疼痛, 歩行能力, 合併症, X線評価について検討した. 大転子部の鈍痛を訴えた2例を除き股部痛や大腿部痛を認めた症例はなかった. 術後3年および4年で内側骨折2例が死...
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Published in | リハビリテーション医学 Vol. 36; no. 12; p. 908 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本リハビリテーション医学会
18.12.1999
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ISSN | 0034-351X |
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Summary: | 我々は海綿骨に類似したフルポーラス形状を有するリューベック型セメントレス人工股関節の適応を拡大して, 大腿骨頸部内側および外側骨折の治療成績を検討した. 本人工股関節を使用し2年以上を経過した内側骨折26例, 外側骨折8例合計34例を対象とした. 年齢は48~92歳であった. 内側骨折は術後1週で起立訓練を開始し疼痛のない範囲での荷重を許可した. 外側骨折は転子部の骨接合の状態を考慮しつつ術後4~8週で全荷重を許可した. 術後の疼痛, 歩行能力, 合併症, X線評価について検討した. 大転子部の鈍痛を訴えた2例を除き股部痛や大腿部痛を認めた症例はなかった. 術後3年および4年で内側骨折2例が死亡した. 死亡例を除く32例中30例が歩行可能となり内側骨折10例, 外側骨折2例は独歩可能となった. 両骨折ともX線上の固定性は良好であった. 外側骨折では転子部の骨癒合を得た. 脱臼, 感染などの合併症は1例も認めなかった. 頸部骨折に対する人工股関節手術について従来はセメント人工股関節が多く用いられたがセメント圧入に伴う急激な血圧低下, 脂肪塞栓症などを考慮するとき, 術後早期からのリハビリテーションを可能にする本人工股関節は有力な治療法に挙げられる. 外側骨折についても骨接合術が奏効しなかった例などに適応を拡大し得る. |
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ISSN: | 0034-351X |