食物誤嚥を自覚することなく経過し, 喀血を機に発見された気管支異物の1例

症例は60歳, 女性. 1998年3月頃より咳嗽, 喘鳴および呼吸困難が出現するようになった. 近医にて気管支喘息の診断で内服薬治療をされていたが, 1999年1月突然喀血をきたし, その後も血痰が出るようになった. 気管支鏡検査が施行され, 気管支異物を認めたため当院紹介となった. 胸部CTでは右中間気管支幹内に約8mm大の高濃度領域が認められた. 当院の気管支鏡検査では右中間気管支幹に不正形白色調の異物を認め, 異物周囲の気管支には易出血性の肉芽が増生し, 異物を取り囲む様に存在していた. 経気管支的に異物摘出を試みたところ, 出血も少なくスムーズに摘出でき, 患者の自覚症状も改善した....

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Published in気管支学 Vol. 21; no. 6; p. 433
Main Authors 柏尾誠, 岡田達也, 山口俊彦, 中川勝, 横田総一郎, 池田勇, 埴淵昌毅, 岡野義夫, 大城新一, 星野茂則, 伊藤正己, 小倉剛, 上津昌広, 前田元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本気管支学会 25.09.1999
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ISSN0287-2137

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Summary:症例は60歳, 女性. 1998年3月頃より咳嗽, 喘鳴および呼吸困難が出現するようになった. 近医にて気管支喘息の診断で内服薬治療をされていたが, 1999年1月突然喀血をきたし, その後も血痰が出るようになった. 気管支鏡検査が施行され, 気管支異物を認めたため当院紹介となった. 胸部CTでは右中間気管支幹内に約8mm大の高濃度領域が認められた. 当院の気管支鏡検査では右中間気管支幹に不正形白色調の異物を認め, 異物周囲の気管支には易出血性の肉芽が増生し, 異物を取り囲む様に存在していた. 経気管支的に異物摘出を試みたところ, 出血も少なくスムーズに摘出でき, 患者の自覚症状も改善した. その後リン酸カルシウム成分が95%以上を占める骨性のものであることが分かったが, 患者が食物の骨を自覚無しに誤嚥し, 長期に放置されたものであることが考えられた. このケースを元に我々は気管支異物について若干の文献的考察を加えながら検討する.
ISSN:0287-2137