赤血球不規則性抗体により第2, 第3子共にHDNを発症した1症例

母親は, 第1子が36週で体内死亡した際, DICを併発し2,000mlの輸血後抗C+e+S抗体を産生. その結果2児共にHDNを発症した症例を経験したので報告する. 母親の抗体価は第2, 3子出産時ともに抗C+e1:64, 抗e1:2, 抗S1:4であった. 第2子は出産直後からの肉眼的黄疸のため生後1日目新鮮血400mlによる交換輸血施行, 第3子も肉眼的黄疸のため生後10時間よりγグロブリン1.5g/6hrを投与し, 共に治癒した. 交換輸血は, 適合血を迅速に入手できない場合や, 副作用が危惧される. γグロブリン大量療法ではその心配がなくHDN治療に十分効果的であることを確認した....

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 41; no. 6; p. 644
Main Authors 牧田典子, 渡辺裟予, 片岡節子, 坪井浩美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1995
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ISSN0546-1448

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Summary:母親は, 第1子が36週で体内死亡した際, DICを併発し2,000mlの輸血後抗C+e+S抗体を産生. その結果2児共にHDNを発症した症例を経験したので報告する. 母親の抗体価は第2, 3子出産時ともに抗C+e1:64, 抗e1:2, 抗S1:4であった. 第2子は出産直後からの肉眼的黄疸のため生後1日目新鮮血400mlによる交換輸血施行, 第3子も肉眼的黄疸のため生後10時間よりγグロブリン1.5g/6hrを投与し, 共に治癒した. 交換輸血は, 適合血を迅速に入手できない場合や, 副作用が危惧される. γグロブリン大量療法ではその心配がなくHDN治療に十分効果的であることを確認した. いずれの場合も妊婦の不規則性抗体スクリーニングは重要であるので, 一層の普及が望まれる.
ISSN:0546-1448