レントゲン写真上,縦隔異常陰影を呈し結核と考えられた1女児例
今回我々は, 遷延する発熱を主訴として来院, 画像上縦隔リンパ節の腫脹を呈し, 結核と診断した1女児例を経験したので報告する. 【症例】13歳6ヵ月女児. 遷延する発熱を主訴に第18病日に紹介, 精査加療目的にて入院. 入院時, 身体所見上特記すべき異常を認めず, 血液検査でも炎症反応の軽度上昇以外に有意な異常値を認めなかった. 胸部X-P上も右第1弓の軽度突出を認める他は肺野等に異常陰影は認めなかった. 入院後, 輸液並びに抗生剤(CEZ及びCAM)の投与を行うも症状軽減せず, 胸部X-P結果を受けて行ったCT検査にて右中縦隔に径5cm大の腫瘤性病変と化した縦隔リンパ節の腫脹を認め, またツ...
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Published in | 日本小児呼吸器疾患学会雑誌 Vol. 14; no. 1; p. 62 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本小児呼吸器疾患学会
01.06.2003
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ISSN | 0918-3876 |
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Summary: | 今回我々は, 遷延する発熱を主訴として来院, 画像上縦隔リンパ節の腫脹を呈し, 結核と診断した1女児例を経験したので報告する. 【症例】13歳6ヵ月女児. 遷延する発熱を主訴に第18病日に紹介, 精査加療目的にて入院. 入院時, 身体所見上特記すべき異常を認めず, 血液検査でも炎症反応の軽度上昇以外に有意な異常値を認めなかった. 胸部X-P上も右第1弓の軽度突出を認める他は肺野等に異常陰影は認めなかった. 入院後, 輸液並びに抗生剤(CEZ及びCAM)の投与を行うも症状軽減せず, 胸部X-P結果を受けて行ったCT検査にて右中縦隔に径5cm大の腫瘤性病変と化した縦隔リンパ節の腫脹を認め, またツベルクリン反応では水泡化を伴う強陽性を示した. 培養ではPCRを含め菌を検出し得なかったが経過より結核と診断, INH, PFR, EBの3者併用療法を行った. 【考案】本例は, 祖母の兄に結核の既往がある. 他は感染源と思われるものが無く, 患児も3歳時にBCG接種, 小学校1年及び中学1年時のツベルクリン反応では陽性と診断されていた. 小児期の結核では初感染結核の頻度が高く, かつ発熱以外の症状に乏しく画像上も病巣が肺野に及ばないこともあり診断が困難である. 一方, 小児結核患者は減少しており結核感染者に接する機会は極めて少ない. しかし, 結核は近年再興感染症の一つに挙げられており, 診断, 治療への更なる注意が必要であると考える. |
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ISSN: | 0918-3876 |