当院に開設した「転倒予防教室」について

「目的」高齢になると, ちょっとした段差や障害物につまずいて, 簡単に転倒してしまうことが多くなる. 年を重ねるに従って骨塩量が減少することも背景にあって, 転倒が骨折などの重大な傷害につながり, 機能の低下やQOLの低下をきたし, 医療経済学的に見ても大きな損失であり, 転倒を予防するための実践的, 具体的な対策が求められている. そこで当院では1997年12月より「健康管理センター」内に50歳以上の成人を対象とした有料の「転倒予防教室」を開設した. 「教室の内容」I)メディカルチェック:転倒歴を含めた詳細な問診. 内科的, 整形外科的診察. 身体の形態計測. 血液, 尿検査. レントゲン検...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 35; no. 11; p. 805
Main Authors 黒柳律雄, 武藤芳照, 太田美穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1998
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Summary:「目的」高齢になると, ちょっとした段差や障害物につまずいて, 簡単に転倒してしまうことが多くなる. 年を重ねるに従って骨塩量が減少することも背景にあって, 転倒が骨折などの重大な傷害につながり, 機能の低下やQOLの低下をきたし, 医療経済学的に見ても大きな損失であり, 転倒を予防するための実践的, 具体的な対策が求められている. そこで当院では1997年12月より「健康管理センター」内に50歳以上の成人を対象とした有料の「転倒予防教室」を開設した. 「教室の内容」I)メディカルチェック:転倒歴を含めた詳細な問診. 内科的, 整形外科的診察. 身体の形態計測. 血液, 尿検査. レントゲン検査. 心電図検査. 視力, 聴力検査. 体脂肪測定. 大腿骨頸部での骨密度測定. 健脚度測定・評価((1)10m最大努力歩行, (2)最大1歩幅, (3)踏み台昇降). バランス測定. II)運動・生活指導:計8週間のコースで筋力トレーニング・ストレッチング・水中運動等を行う. 安全で楽しく長く続けられる内容を心がけている. 「これまでの結果と今後の展望」これまでに17人(男5人, 女12人)が参加した. 平均年齢は69.5歳(54~86歳)であった. 全員終了時には開始時に比し有意の差をもって健脚度が改善していた. 終了後の感想にも総じて好意的な意見が多かった. これからも, こうした運動を続けたいとの希望者も多いため, その場を提供する予定である.
ISSN:0034-351X